北極にはやはり白が似合う。白モレスキンを観測野帳に
フィールドワークには野帳が不可欠です。調査の途上で手に入れた情報、見聞きしたこと、気づいたこと、あとで確認しようと思ったことなど、すべてを記入するノートのことです。
気象観測をしている私たちも、毎回ただ観測をするのではなく、その都度空がどのような様子だったか、風に特徴はなかったか、見た目の印象とデータとに齟齬がないかといったことを手帳に記入していきます。そうしないと、すでに120回もおこなった観測の一つ一つを覚えていることなど不可能だからです。
さて、普通はもっと軽い耐水紙の多少が使われる現場ですが、私は書く量が多いのでここでもモレスキンを利用しています。北極にもってくるのだから、白と最初から決めていました。### 白モレスキンの落ち着き
モレスキンといえば普通黒なのですが、このモレスキンはそれを完全に裏切った、でも落ち着いた雰囲気の白色です。使っているうちに端のあたりから黄ばみ始め、それが古本のようでかえって愛着がわきます。
野帳ですので、その場でしか感じることのできない雰囲気、思いついたアイデアなどを即興で書いていきます。現場の空気はあとではなかなか再現できませんので、それを伝える手がかりを手帳に残してゆくのです。
こちらは現場で思いついた研究のアイデアの書付です。あとで陸上に降りたあとでこれを実行に移すかはわかりませんが、とにかく現場でのアイデアは基調ですので記録します。
今回は写真もたくさんとっていますので、説明の必要な写真については印刷して貼り付け、どのような状況だったか、なぜ特にこの写真を撮ろうと思ったのかを書いておきます。
たとえばこちらのページにあるのは、海氷に囲まれた際に、この海氷が何年も漂流していたことをうかがわせる特徴があったのを記録しています。
船内でも多少の研究活動はしていますが、そのときの作業メモも書き付けます。左のページにはラジオゾンデの図が、右側のページには、これから行う作業の概念図がまとめられています。
野帳なら、なにもモレスキンである必要はないのですが、このノートの場合、そのまま製本したかのような一冊の記録本になるところが魅力です。
まだまだページ数はたっぷりありますので、これから加速してページを埋めていきたいと思います。