仕事において「与えること」が多い人への福音「Give and Take」
あなたは仕事において、人から何かを受け取るほうが多い人でしょうか? それとも何も言われずとも誰かに何かを与え、奉仕し、相手の側に立って行動してしまう人でしょうか?
前者を Taker、後者を Giver としたとき、どちらの方が結局のところ「得」なのでしょうか? Giver はいつも馬鹿を見るのでしょうか?
毎月お届けしている日経ビジネス・アソシエの連載、「ビジネス洋書”先取り”ガイド」、今月はそんな話題に触れる特別な一冊です。### 過小評価される Giver の持ち味
Adam Grant さんの “Give and Take” は、職場の人間関係などにおいて周囲の人から受け取る、あるいは奪い取ることが多いタイプの人を Taker 「奪う人」と定義し、相手に与えることが多い人を Giver 「与える人」としています。
この中間に、「状況に応じて与えもし、奪いもする」という Matcher という存在がいますが、著者は企業での階層構造の中で、こうしたタイプの人々がどのようなポジションを得るのかについて調査を行います。
一見結果は当たり前で、Giver の特性を持っている人はその分ポジションが低く、平均給与が低く、他人のために自分の成功を犠牲にする傾向があるという結果が出てきます。
しかしその一方で、面白い結果が現れます。Giver は組織の下半分にも多く見られる一方で、最も高いところにも多く見られるのです。逆に、Taker の素質をもっている人は、案外中間層に最も多くなるという結果なのです。
これはいったいどういうことなのでしょうか?
パイを広げ、可能性を広げる Giver の特性
それだけではありません。 Giver が成功するとき、彼は限定されているかにみえるパイをおしひろげ、周囲の人にも大きなメリットを作り出す傾向があることがこの本からはわかります。
こうした Giver の特性は、惜しみなく与え続けることで他人から受け取りやすくなっている「シェアの精神」、あるいは自分の利益よりも全体の利益をみることのできる客観性など、多岐にわたります。
一方で、どのような Giver が下に沈み、どのような Giver が成功するのかについてもこの本には触れられていて、奉仕とサービスが一種の基本フォームとなってしまった日本社会において考えさせられることが多々有ります。
アソシエの記事では最も唸った部分の引用などを掲載していますが、この本はかなり重要な内容をもっていると思いますので、これから何度かにわけて紹介をしていきたいと思います。
日本語訳も予定されているということですが、先取りの先取りです。自分は搾取されるだけなのかと思っている Giver な人に一刻も早くとどけたい、これはそんな本なのです。
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