WiFiにつなぐだけで防犯にも家のログ取得にも使えるCanary
家を守るために導入する防犯システムはえてして高額なものです。しかし小さな部屋を借りているだけであったり、遠隔から監視することだけが目的ならば、それほど大規模なシステムは要りません。
実際、WiFiと小さな端末だけで十分なのです。
Canary はそうした、WiFiにつないで部屋に置くだけで実現する防犯システムですが、それ以外にもログをとることを好きな人にとって嬉しい機能が満載していて見逃せません。### カメラ、マイク、そして各種センサーまで
Canary は小さな円筒状の端末に過ぎませんが、WiFiにつないで部屋においておけば広角のカメラ(暗視機能つき)が部屋の様子を監視し、マイクが音を拾い、赤外線センサーが動きを察知し、熱・湿度センサーが異常を検知します。
たとえば音と振動によってドアの開閉を検知したり、急な温度変化によって火事を察知するなど、その場にいなくても自宅の様子がわかるわけです。
Canary が集める情報はすべて iPhone アプリから確認することができますし、通知が送られますので「何か異常がありそう」といった通知に対して電話をする、警察に連絡するなどといった対応をとることができます。犯罪などに対しては後手に回ることになりますが、遠隔地からCanary本体のサイレンを鳴らすという対応も可能です。
そしてこのCanary、生活をしてゆくなかで家族の行動を覚えていきますので「7時のドアの開閉は出勤時のもので気にする必要はない」といったことを学習します。そして、普段のサイクルからはみでた現象について報告を行うようになっていくのです。
自宅のログがとれる…?
これだけだと、多少スタイリッシュで高機能な防犯装置というわけですが、動画でみたところ収集している気温や湿度の情報は美しいグラフで表示され、ログを取るのにも利用できそうです。
以前、研究用の気温ロガーを部屋の天井と床に設置して気温差がどれくらいになるのか調査したことがありますが、部屋にはいる光線の具合、風のとおり具合、そしてロガーの近くに人間がいるかだけで計測される気温は有意に変わったものです。
同じようなデータを自宅についてとって、Canary が置かれた部屋が季節ごとにどれだけの気温変化と湿度の変化があるのか、エアコンや除湿機の効果はあるのか、家族の行動サイクルはどのようになっているのかがログ化されると、これまで意識したことのない発見があるかもしれません。
一方で、家族のプライバシーを守りながらCanaryを導入する必要もあってそのあたりがどうなるのかは今後の開発次第のようです。
Canaryは2014年春の出荷を目指して、クラウドファンディングサービス IndieGogoで出資を集めています。
ニュースが入ってくると同時に注文しましたので EARLIEST BIRD SPECIAL というランクに間に合いましたが、素早く応募が入っているみたいですのでもし興味があるというかたは(クラウドファンディングのリスクもご確認の上)応募してみてください。
WiFiはすべてをつないでゆく「空気」
Canaryの機能とサイズをみていると、こうした機能は今後すべての家電に組み込まれてゆくのはずだと期待が高まります。
WiFiはパソコンやスマートフォンをつなぐだけだけのものではなく、家庭のなかにあるものがつながって「会話」をするために、ひいては家庭がネットの一部として仮想化されるために利用される空気のような存在になるわけです。
いずれ、空気を意識することがめったに無いようにWiFiの存在すら意識することがなくなり、そのなかでパソコンであれ、携帯端末であれ、冷蔵庫であれ炊飯器であれ、すべてが人間の先に判断を下して人間の生活をサポートしてゆく世界が見えてきます。
そしてそれは、家全体をスマート化するほどの投資をせずとも実現可能なものばかりなのです。
まずは自宅の気温と湿度のデータをCanaryで知るのが楽しみです。ログが大好きなかた、おひとついかがでしょう?