Evernoteの新機能「リマインダ」の考え方と利用方法

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長年の間、多くのEvernoteのユーザーがもっとも要望していた機能の一つが「リマインダ」です。

Evernoteにはすでにノート内にTo-Doの項目を追加することができますし、なんでも放り込むことができることからEvernoteをタスク管理やGTDツールとして利用しているという人もいました。そうした人にとって、To-Do を忘れないようにするリマインダは非常に重要なのですね。

そしてついに先月、この「リマインダ」機能がEvernote iOS / Mac / Web に追加されました。しかし、単純にすべての To-Do にリマインダが追加されるような形ではなく、ちょっとしたクセをもった作りになっています。

それがなぜなのかを理解すると、Evernoteがリマインダの先に何を考えているのかがなんとなくみえてきます。### リマインダはノートに追加、ノートブックごとに整理

Evernoteリマインダで最も重要なのは「リマインダはノートに付けられること」と、「リマインダはノートブックごとに整理される」という点です。

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Mac 版、iOS 版のEvernoteでアラームのアイコンをクリックするとリマインダを追加できます。ノートについて一つずつ、日付と時間も指定できて、目的の時間になるとMac側・iOS側の両方でノーティフィケーションが表示されます。ただし、iOS 側でノートを同期しておかないといけません。

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設定したリマインダはノートの一覧表示の上に目立って表示されます。このとき、リマインダはノートブックごとにまとめられており、その中で上下に移動させることができるほか、日付順に並べるといったことができます。

リマインダ = 思い出し

この作り方をみていると、Evernoteのリマインダ機能はタスク管理のために作られたのではないということがわかります(もちろん、その方向性で使うことも可能ですが…)。

むしろこれは、外部の脳であるEvernoteにとっての「思い出し」の仕組みなのです。

Remember

多くのノートは単なる資料であって、検索するまで思い出す必要はありません。しかしある種のノートは、時間を決めて思い出したいことがあります。リマインダはそのために使うわけです。

ノートブックごとにリマインダが整理されているのも、「家族」について思い出したいことと、「仕事」について思い出したいことを分けておくくらいの意味合いです。

たとえば私はよく気になる事件やニュースのできごとについてウェブクリップをしますが、その件について1週間後や、1か月後、あるいは節目となる1年後などに思い出したいと思うことがあります。Evernoteのリマインダを使えば、そこに保存した記憶の断片に思い出すという部分もまかせて、時がくるまで忘れていられます。

あるいは最近利用していて便利なのが、研究の作業ノートにリマインダを付けておき、朝が来るたびに「今日はこの続きだよね」とEvernoteに教えてもらう方法です。朝の出勤時にリマインダで届いたノートに目を通せば、その日の作業をあたまに入れたうえでスタートできるわけです。

いうなれば、資料を渡してくれる秘書さんがいるような感覚ですね。

Evernoteリマインダは Evernote Business で利用するとまさにこの秘書のような役割をもたせることもできます。他の人がセットした「思い出し」がチームで共有されるというのは、今までのカレンダーアプリや、タスク管理アプリとはちょっと違ったアプローチです。

タスク管理に使う場合、そして今後は?

Evernoteでタスク管理というのは便利なようでいて、制限が多いのでちょっとした曲芸になります。

そこでタスク管理に使うのであれば、Evernoteの中でタスクをすべて管理するよりも、Remember The Milk が発表した Evernote リマインダとの同期機能を使うほうが自然かもしれません。

この機能はいわばノートからリマインダを引き剥がしてタスク管理システムに入れてしまうので、タスクを管理するという視点からみるとこのほうが自然です。

ただ今後、Evernoteはさらにさまざまな「思い出し」に対応してゆくことが予想されます。リマインダはその最低限の実装にすぎません。

容易に思いつくのは、年ごとや記念日に定期的にリマインダを起動したり、ジオフェンス機能である場所にいくと思い出させてくれたりといった使い方です。

Google Now のように、コンテキストにあわせて思い出させてくれる機能も当然視野に入ってくるはずです。

「以前クリップしたお店の近くにいますよ」といったノーティフィケーションが自動で来るようだと面白いですよね。思い出したいことの一歩先にEvernoteがいくようだと、もっと面白いですよね。

ぜひ、思い出深いノートに一つリマインダを付けてみて、思いもかけない日に「思い出し」を体験してみてください。きっと記憶が外部に行くことにそれほど違和感を覚えなくなってきますよ。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。