速度、操作性、未来につながる新機能。すべてが新しいEvernote 5 for Mac のベータ版

Evernote5 beta

「これまでのEvernoteは機能を重視してきた。これからは、ユーザーに届ける経験を最優先にする」

9月にEvernote CEOのPhil Libinさんに単独インタビューをした際、彼はこのようにいいました。そしていたずらっぽく付け加えました「Macクライアントもそれを実現するためにまったく新しいものにするつもりだ」。

通常ならば、長年かけてやっとあそこまで仕上げたクライアントをまた刷新するというのには非常に勇気がいることだと思うのですが、それをさらっとやってのけるのが Evernote という会社の脚力なのです。

そしてPhilがその時口にしていた新しいMacクライアント、Evernote 5 for Mac のベータ版が利用可能になりました!### さらに直感的になった Evernote クライアント

一見すると、新しい Evernote クライアントは以前と同じ機能を少しだけ美しい UI で提供しているだけのようにみえます。しかし細かいところにこそ、今回のアップデートの意味合いが隠れています。

Evernote5 1

まずクライアント全体をみると、左側のツールバーが目立ちます。これまでノートブックとタグとが非常に混みいって使いにくかったのですが、これがアイコンにまとめられています。

Evernote5 tagbar

「まてよ、これじゃあどうやってノートやタグの移動をするんだ?」という人もいるかと思いますが、右クリックで一覧表を表示できるようになっています。これまで通り、タグをノートに落としたり、ノートをタグに落としたりといった操作もできます。でもこれって多分、90%のユーザーにはあまり利用しない機能だったんでしょう。なので隠せるようになっているというわけです。

Evernote5 views

ビューの切り替えもアイコンから行います。「カードビュー」「展開したカードビュー」「リストビュー」「サマリービュー」などを選択することが可能です。これは以前のバージョンと同じですね。iPad の UI とさらに近くなって、美しく見やすくなっています。

新しいマップビューでノートを地図上で確認する

スマートフォンにはすでにありましたが、クライアント側では対応していなかったマップビューが今回追加されてます。

Evernote5 mapview

マップビューをみると、世界地図だけでなく主な国、都市がすでにピックアップされています。「あれ? こんなところに行ったっけ?」と思うような地図も表示されて、早くも地図上でノートを確認するのが楽しくなっています。

Evernote5 mapview2

マップは自由にズームイン、ズームアウトできます。また、それにあわせてノートの位置がより正確に展開されてゆくのは iOS 版と同じですね。

左のツールバーで作業を効率化

左のツールバー部分には、ショートカットと、最新のノートが表示される欄があります。これがEvernoteで作業をする効率を高めます。

Evernote5 toolbar

新規ノートの欄には、直近に作成したノート、あるいは編集したノートが表示されますので、ノートからノートに飛び移ってもすぐにもとに戻れます。

Evernote5 toolbar2

またショートカットには、個別のノートやタグ、ノートブックを格納できます。最も利用するノートブックやタグを登録しておくのもいいでしょう。

見えない部分が一番すごい、新しい検索機能

今回のアップデートの一つの目玉は、Evernoteから情報を取り出すための機能が盛り込まれ始めているという点です。それが新しい検索窓です。

Evernote5 search

検索窓に文字列を入力してゆくと、タイプするにしたがって検索候補が次々に表示されます。これは自分自身のEvernote内の文字列を利用して推測されているため、あなたのEvernoteに即した候補がでてきます。

同じく検索候補は保存された検索からも表示され、探しているノートへの絞込みが容易になります。

Evernote5 search2

これまで「tag:」といった複雑な文字列を利用したりしていた検索のオプションも直感的に追加できるようになります。こちらの UI から画像のみ、ある日付以降といった検索条件を追加してノートを絞り込めます。

未来への予感あふれる好アップデート

これまでも順調に速度が改善していた Evernote クライアントですが、この Evernote 5 を Macbook Pro Retina で利用した印象では、もはや速度で悩まされることはないくらいに爆発的なスピードを保っています。

たとえば膨大なノートの下の方にスクロールしたとして、これまではサムネイルがなかなかロードされないので探しているノートがみつからずいらいらしたのが、瞬時に表示されています。

また、左のツールバーに不自然な空白があるのも見逃せません。「タグ」などのツールを非表示にすることができるのですから、今後はここに新機能をプラグインとしてつけ外しすることもロードマップには入っているのではないでしょうか。

速度も、見た目も、使いやすさもすべてをバランスさせて新しいクライアントを開発するのは至難の業だったと思うのですが、これをやってのけるEvernoteの底力を見せつけられた気がします。

ベータ版を利用する勇気がある人は、ぜひ触ってみてください!

(追記)

Evernote 5 for Mac のベータ版は、Mac App Store から入手した場合には利用できませんので、こちらの記事を参考に再インストールをおこなってください。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。