「ひらくPCバッグ」は持ち歩く書斎を実現する発明だった!

みたいもん!のいしたにまさきさんプロデュースの「撮れるカメラバッグ」に続く第二弾、「ひらくPCバッグ」が完成しました。

バッグを制作しているスーパーコンシューマー様からモニターとしてバッグをいただきましたのでさっそく使わせていただいたところ、どうしていままでこうしたバッグがなかったのかと驚くほどの出来映えです。

写真でこのバッグの形や使い方を紹介したいと思いますが、その本当の秘密はバッグの構造から生まれる絶妙な力学にあります。これはもう、新しいバッグの発明といってもいいかもしれません。

三角形で直立するバッグ

ひらくPCバッグは Macbook Air 13 inch、最大で Macbook Pro with Retina Display (15 inch) を格納できるPCバッグですが、その大きな特徴は直立する三角の形です。

PCバッグというと、ブリーフケース型、あるいは肩ベルトつきのサッチェルが典型的ですが、この形だと立てて使えません。

喫茶店などにパソコンを持ち込んだ際、机や椅子にもたせかけたり、出先でパソコンを取り出すために足の間に挟んでいる光景はなじみがありますよね。

ひらくPCバッグは側面を三角形にしたおかげでPCを入れたままでも直立し、しかも底面を活用して収納が確保されています。

DSC 9611

ありったけのものを詰めてみた様子がこちらの写真です。三角形の1辺がそのまま手前に開いて、バッグを立てたまま中にアクセスできるのがわかります。ポケット部分はとじると上下逆さまになりますので、ケーブル類などを入れます。

DSC 9618

どれだけのものが入ったかというと、この通り。Macbook Pro Retina に、電源、マウス、ハードカバーの洋書、手帳、文具などなど。悪ノリして ScanSnap S1100 まで入れてますが、代わりに一眼レフカメラでもレンズを上向きにして入れることができます。

DSC 9613

バッグの底面にたくさんのものを納めると、当然三角形の頂点部分に空きがうまれます。でもこのおかげで、ポケット部分がふくらんでも問題なくバッグを閉じることが可能です。

DSC 9635

底の部分はベルクロの仕切りで自由に区画を作ることができます。たとえばこれはモレスキン、バッテリーと無線LANルータ、Macbook Pro の電源、そして文庫本の4つの部分に分けた場合です。

背負った感触ですが、これだけ物をいれていても意外なほど軽く感じることができます。歩く際にはメッセンジャーバッグみたいに背中側、というよりお尻の方にバッグを回せば両手がフリーに。

撮れるカメラバッグだとカメラと子供用品が全部入らなかったのですが、これなら大丈夫です。もしかしたら究極のパパバッグといえるのかも…。

「ひらくPCバッグ」の力学

しかしなんでこの形状だと重さをあまり感じないのか? これは物理的に考えてみる必要がありました。

「撮れるカメラバッグ」の際にも、体に寄り添うようにしてフィットするデザインが持ちやすさを生み出していましたが、ひらくPCバッグはさらにそれが際立っているのです。

Hiraku2

床に置いている際、底の部分にたくさんの荷物がありますので自然にバッグの重心は下にやってきます。これを三角形の支点が支えますので、MacBook Pro Retina を入れていても倒れません。Retina 自体はバッグの中で斜めに格納されているのに!

Hiraku3

肩からさげてみると、バッグとその中身はこんな感じに。ここでポイントは二つあります。

  1. 肩からさげると、ストラップの角度は決まっているので PC は常に直立し、バッグが肩に与える力の角度も常に同じになります。

  2. バッグの側面は腰の1点で支えるようになりますので、腰から斜め上方に押す力が加わります。

つまりこの二つの力が合力となって支えているので、肩への負担が少なくなります。

また、バッグの重心は肩からさげた場合は(剛体ではないので)体側にシフトして、腰で支えている支点に近づきます。力点と重心が近いので、バッグを支えるために加える力がほとんど無駄なく伝わるのです。

Hiraku4

既存のサッチェル的なPCバッグだとこうはいきません。まず、バッグと肩の角度が常に変わり、たいていはひらくPCバッグよりも角度が急です。つまり、肩はまともにバッグの重みを受けてしまいます。

また、バッグはその側面全体で体を押しますが、その反作用は体と逆側にいくだけで、バッグを支える力になりません。パソコンがなんだかもたれかかっているようにうっとうしく感じられるのはこのせいです。

「いま」のニーズの周囲に設計されたバッグ

ほんの数日使っただけですが、ひらくPCバッグはつくづく考え抜かれた構造をもったバッグだと驚きました。

それは、「PCの入るブリーフケースを作ろう」あるいは「PCと周辺機器が入るサッチェルを作ろう」という具合に既存のバッグの形にニーズを合わせているのではないからです。

むしろ、いまブロガーや外で仕事をする人が必要なPC、カメラ、電源、本といった「入れるもの」を想定し、その周囲にバッグを作ったらこうなったという自然さがあります。そう、これはあたらしいバッグのジャンルといってもいいのかもしれません。

早くも、私は自分用に二つ目の「ひらくPCバッグ」の購入を検討しています(色は二つあるので、今度はネービーで!)。二つ目があればこのバッグを「第一書斎」「第二書斎」と考えて、中身を入れ替えることなく持ち出すだけでよいからです。鞄の入れ替えに伴う時間となくし物・忘れ物のリスクを考えたら安い投資だといえるのです。

価格は多少高めですが、モバイルに使うバッグに「これ!」というものがなかったという人にはおすすめです。

私は直近のイベントにはこのバッグで出歩く予定ですので、もしみかけたら使い心地や機能について、なんなりとご質問ください!

(追記:この記事を書いたあとでブラックの追加分もまたたくまに消えたので、急いでネイビーを買ってしまいました(笑))

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。