セミプロブロガーの憂鬱:#01 プロブロガーの「プロ」には二つある
私はセミプロブロガーです。
多くの人が「ブログが本業なんですよね?」といってくださるのですが、私の本業はとある研究所で北極を研究する科学者です。
このブログは、仕事から帰り、子供の世話をしたあとでたいてい夜遅くなってからしかできない私の「副業」です。しかし「セミプロブロガー」というのは、別にブログが副収入源であるという意味だけではありません。
ネタフルのコグレマサトさん(@kogure)、和洋風のするぷさん(@isloop)の共著による、いわゆるプロブロガー本 が出版されて以来「プロブロガー」というキーワードが注目を集めています。しかし多くの人にとってはブログだけで生計を営むのは難しいでしょうし、なにをもって「プロ」とするのかも捉えがたいと思います。
また、本業があって、さらにブログや執筆もする場合、どうやって家庭や育児と両立させるのかという質問も頻繁にうけます。
そこでこれから何回かにわけて私自身の「セミプロブロガー」な日常についてシェアすることで、他のブロガーさんの参考になったり、ディスカッションの種を提供できればと思ってます。
でも最初にはっきりさせておきたいこと、それは「プロ」ってなんだ? という話です。### 「プロ」には二つの側面がある
よく利用される「プロブロガー」という言葉では、二つの意味が混同されているように思います。
狭い意味での「プロ」ブロガーという言葉は「ブログの広告収入だけで生活している人」と解釈されることが多いのですが、そうした人は皆無とまではいかないまでも、ほとんどいないでしょう。
条件をゆるめて、「ブログにまつわる活動で生活している人」ならば知っている人にも大勢います。しかしそれだって、まだまだ世の中からみれば少数派です。収入的にはブログは副業であることがほとんどのケースなのです。
もう1つの「プロ」は、ライターでも、記者でも、著作家でも、漫画家でも、音楽家でもないけれども、ブログというプラットホームを通して好きで好きで仕方がないことを**プロのごとく発信する人、いわゆる「やめない人」**のことです。
本業としてそれで生活できなくても、ブログがその情熱の受け皿となったからこそプロのようにアウトプットができるすばらしい状況を満喫している人です。
前者の意味でいう限り、私はセミプロです。しかし後者の意味においては、私はプロブロガーとして更新しているのです。
「趣味」でもプロのように
趣味でもプロのように更新しなければならないということは、このブログを始めるきっかけとなった Merlin Show の第二回、Merlin Mann と Jonathan Coulton の対談から来ています。
Jonathan Coultonはアメリカで大人気のミュージシャンですが、彼が有名になったきっかけはSong a Weekという、毎週必ず1曲を作曲し、レコーディングして、ポッドキャストとしてネットにアップロードするという1年間の活動でした。
この毎週の一曲はすべて無料で、なにか大きなあてがあってリリースされていたものではありませんでした。しかし続けることで、彼の音楽的才能は研ぎ澄まされ、次第にファンは増え、彼の音楽家としての独立を促しました。
私にとってプロブロガーというのはこういう人のことを指しています。自分の書いている記事、作っているものが好きで、夢中になっていて、書かずにはいられなくて、それをネットにアップロードした結果、なにか「変なこと」が始まってしまうような人々です。
その結果、最初の経済的な意味での「プロ」と、作り手としての「プロ」は重なりあってきます。良いものを提供するひとには経済的チャンスも巡ってきます。しかしあくまで順序は、「何を書きたいのか?」から始まるのです。
あなたは「プロ」ですか?
前者の経済的意味のプロという意味ばかりが注目され、昨今のノマドブームと相まってブログでいかに目立つか、いかにマネタイズするかといった話題をよくみかけます。そしてその当然の帰結として、ブロガーとしての「上がり」は独立にあると煽られることがたまにあるのですが、私はこれに疑問を感じています。
本来もっと自由で、私たちを開放してくれるはずだったブログが、またもう一つの檻になってしまったような息苦しささえ感じないでしょうか。「セミプロブロガーの憂鬱」という連載タイトルにはこの気持ちも若干込めています(笑)。
これから何回かにわけて書きたいのは、大変ですが、もっと明るい話です。
本業があっても、ブログでまったく違う世界で遊ぶにはどうすればいいのか? 家庭や育児とブログ更新時間をどのように両立すればいいのか? 副業ブログを通してより経済的にも精神的にも自立するには? 趣味を「プロ」化するために注意すべき点とは? といった話題です。
でもまず最初の問いは決まっています。あなたには書きたくてたまらないこと、更新せずにはいられないコンテンツ、世界に届けたい何かはありますか? あるいはそれを探したいと思っていますか?
答えがYesなら、ようこそ。プロブロガーの世界へ!
(本連載は毎週木曜日を目指して更新します。また記事はサイドバーでもまとめておくことにします)
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