新しいSpringpadはPinterest風味を加えてEvernoteを追撃
さあこれは面白くなってきた!
SpringpadはEvernoteと似た、個人的な情報をクリッピングするためのサービスです。しかしよく競争相手と紹介されるEvernoteとはさまざまな考え方や使い方が違います。
Evernoteはより自由度の高いデータの保存やクリッピングを目的としているのに対して、Springpadは本や映画といったコンテンツをクリップした整理することを目的にしています。その違いは Springpad のクリッピングの様子を見てもわかります。
Springpad のクリッピングはデータそのものというよりも、「場所」「映画」「本」「アルバム」「ワイン」といったようなカテゴリ分けを重要視していて、自由なデータベースと言うよりは、テーマを決めたスクラップブックのようです。Springpad でもテーマごとにノートブックを作成して、そこに整理したい情報を投げ込んでゆくことが奨励されています。
この形式、最近ウェブを席巻している Pinterestと似ていると思っていたら、Springpad 自身が Pinterest を強く意識した新しいノートブックの表示方法に対応してきました。また、iOS / Android 版のアプリもアップデートして、「個人が整理したいデータの Pinterest」という位置づけを強めています。
Evernoteのノートブックが個人的な利用を中心としているのに対して、Springpadのノートは共有され、「見せびらかす」ことを念頭において作られています。
また、Evernoteに与えるデータは細かいテキストやフォーマットを編集可能ですが、Springpadはある程度定式化されている代わりに、たとえば書名を与えるだけで残りのデータはウェブから自動的に埋められるように作られています。
これはデータを自由にしたい、けれどもデータの編集は楽にしたい、あるいはある情報はプライベートだけれども、ある種の情報はすすんで公開したいというジレンマが二つのサービスにまたがっているといってもいいかもしれません。
しかし、日本のユーザーにとってはまだ Springpad を利用するのに「言語」という大きな壁があります。たとえば普通に和名の本を登録しようと思った場合、このように英語の候補しか表示されないという場合もあります。
こうした場合はモバイルアプリからバーコードスキャンで書名を入れれば大丈夫な場合もありますが、反応がない場合もあり、そうしたときはかえってEvernoteよりもデータの入力が手間になる場合もあります。
自由な、でも複雑になりがちなEvernoteか。それとも手軽だけれども制限のあるSpringpadか。すくなくとも、「見せるノートブック」としてのウェブ表示は Springpadが Evernote の一歩先にいった気がします。
Evernoteに預けているデータが増えるにしたがって、それを意味のある時間のうちに取り出す仕組みの必要性は高まる一方です。Springpad の今回のアップデートは見栄えに偏ったところがありますが、Evernoteの未来をうらなう意味でも面白そうです。
あとは Springpad に象とうまく対抗するマスコットがあれば完璧なのですが!