整理術を悟ればストックはフローへと変貌する

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写真や Evernote のノートのように、どんどんと溜まっていく情報をなんとか記憶の旗のもとに掌握したいという気持ちは、まったく自然でしょう。しかしはたしてそれは現実的なのでしょうか?

ときおり、「Evernoteのなかをゴミ化しないために整理しよう」といった記事を読むのですが、整理するあいだも増えてゆく情報を掌握するために投入する苦労は並々なりません。

それを全部やめてしまったとしたらどうでしょう?ぜんぶ捨てる写真整理術 - ハードディスクに写真を残さない | ガジェット☆ダイスケ - gajetdaisuke.com

大別すると、クラウドで事足りるものと、ローカルで保持しておくものに分かれます。

ブログ用素材なんかは明らかに前者ですよね。ソーシャルメディアなんかは投稿した時点で目的完了ですから、そのあともローカルに残しておくかどうかは物によりけり。

対して、ローカルに保持しておくものの中にも、使用したら捨てて良いものというのがあります。たとえば制作とか資料の素材ですね。その後も度々利用する写真があるかもしれませんが、常に必要かどうかというと、頻度はとても低そう。

家族の記録はクラウドに上げてもいいんですけれども、個人的には一応手もとにバックアップは持っておきたい。

で、いまどうしているかといえば、先述のとおり

ぜんぶ捨てる

このガジェットダイスケさんの写真整理術はとても現実的です。ブログで記事を読めばわかりますが、必要なものを捨てるわけではありません。

  • ブログで使用するものや公開するものはすべて Flickr へ

  • 家族の写真なども外部ハードディスクにバックアップを押し出しつつ Flickr へ

  • 手元のマシンではその都度すべて削除

苦労して整理をしたとしても、それを探す必要に迫られることが珍しい場合は、時間が無駄になりかねません。

Flickr にはすべての写真が時系列順に存在しますし、重要な写真には他の人が「スター」をつけていたりアクセス数が多いのですぐにわかります。

これは捨てたくない写真と思うものはあらかじめそれがわかるようにタグをつけておくか、専用のフォトセットに入れておくこともできるでしょう。

整理しないEvernoteの整理術

同じ事をEvernoteで考えたらどうなるでしょうか? こんどは逆に「捨てる手間さえかけない」がそれになります。

本当に無意味なノートについては削除してもいいでしょうけれども、それさえも必要はありません。Evernoteにはてきとうに必要なものを放り込み、あとは検索で探します。

ただ、検索で必要なものを見つけるたびに「これは探して活用した」ということを示すタグを加えてゆくのでもいいでしょう。「★」マークといったタグを使ってそれを指ししめすのも一案です。

本来は Evernote の機能として「記憶のヒートマップ」を創りだしてゆくのがよいと私は考えています。

すべての記憶は等しくありません。重要なもの、活用できるものから、いつかつながる時を待って眠っている情報、ただの時間の化石まで、さまざまです。

もしEvernoteが私達のアクセスの仕方から情報の重要性をあらかじめ推測して検索に反映できればいくらデータをいれてもきにすることはないのですが、これは今後の課題といえるでしょう。

整理すべきものを「ストック」として、それ以外のものをただ流れさって検索すればよい「フロー」ととらえれば、これまで整理しなければとやっきになっていた膨大な情報も手放すことができます。

検索と保存はパソコンとクラウドのほうが圧倒的に得意なのですから、この逆説的整理法はクラウド時代にうまれつつある新常識といってもいいのかもしれません。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。