一味ちがう旅のおすすめ「旅鞄いっぱいのパリ・ミラノ」(堤信子・本の泉社)
旅が好き? 文具も好き? それならばこの一冊を開くだけで至福のひとときを得られることでしょう。
「旅鞄いっぱいのパリ・ミラノ 」は、「モレスキン 人生を入れる61の使い方 」にも投稿くださった、「はなまるマーケット」でおなじみの堤信子さんの旅+文具の本です。
仕事で、そして個人で長年パリ・ミラノを旅している堤さんの文房具好きはもはやライフスタイルといってもよいところまで到達しています。
先日のライフログイベントでお会いしたときにも、「トランクを半分以上空のまま旅に出て、いっぱいに文房具を詰めて帰ってくるんですよ!」と嬉しそうにおっしゃられているのを聞いて「これは、かなわない!」と恐れいってしまいました。
その堤さんの長年の旅歩きと文具への愛情が一冊のおしゃれな本に凝縮されているのが本書です。ちょっと覗くだけでも、パリに、ミラノに出かけたくなる危険な誘惑が詰まっています。### パリの古紙市? セニガーリアの露天市? なにそれ、行きたい!
この二都市を訪問したことがある人でも、きっとこんな視点で街を歩いた経験のある人は少ないのではないでしょうか?
本書は大きく「パリ編」と「ミラノ編」に分かれていて、魅力的な文具屋、ラッピング用品店、紙専門店、切手、博物館のショップ、などが美しい写真と共に紹介されています。
しかも堤さんの取材の手はさらに知る人ぞ知る年に二度だけの古紙市や、生活雑貨の露天市にまで及びます。
日本にいたらきっとみることのないアンティークのポスター、パンフレット、古地図、切手、手帳などが次々と登場して、文具好きには本当に目の毒です。
パリ・ミラノの「裏」ガイドブックに
美しい写真にポイントを押さえた文章が本書の魅力ですが、さらに特筆すべきはガイドブックとしても機能的な点です。片手で軽く持つことができるサイズと重さで、しかも掲載されている店にはそれぞれちゃんと地図と店前の写真がついていますので、実際に訪問してみたいという人にも便利です。
そう、本書の唯一困った点は、どの頁をみても実際に足を踏み入れたい、手にとって見たい店や文具ばかりだというのに、パリとミラノという遠い離れた場所まで行かないといけないところです(笑)。
海外旅行をした人は意識したことがあると思いますが、パリに行っても「ルーブルに…ノートルダムに…ベルサイユに…」と、名所のToDoリストをこなしているだけという気持ちになる時がたまにあります。
そんなとき、ちょっと道草をすればこんな素敵な文具店などに出会えるというヒントを本書は与えてくれます。
名所とこうした店をからめたコースを Google マップなどで作ってみると面白いかもしれません。伝え聞くところによれば、本書の店をめぐるツアーも企画中だとか…?
たまにはいつもの観光コースを離れて、あこがれの街のディープな文具ワールドに誘い出されてしまってもいいのではないでしょうか!