iCloudワークスタイルのすごさがじわじわとみえてきた
先日、「「スマート読書入門」出版記念セミナー」に登壇させていただいたとき、実は一つのことを試していました。
この日のプレゼンを休み時間に急いで作ったあとで、それを iCloud.com 経由でクラウド上にアップロードして、そこから先は電車のなかで移動しながら iPad / iPhone 上で編集を行っていたのです。
おなじようなことは Dropbox を使えばもちろん実現できます。アップロードした Keynote プレゼンファイルを、iPadで開けばプレゼンを持ち出すことはできるわけです。
しかし編集したファイルをもう一度 Mac の側に戻したいと考えたとき、それは iOS 上の Keynote の設計上多少面倒でした。ファイルとして直接 Dropbox に戻すことはできないので、iDisk や他の WebDAV ドライブなどを経由しないといけません。
iCloud はそれを解決してくれるのかというと、なんだかちょっと違うようです。しかしこのワークスタイルがじわじわと腑に落ちるようになり始めました。### iCloud と、Mac / iOS 間の断絶
たとえば普段利用している Mac 上で、Pages / Keynote / Numbers のファイルを編集していたとします。そしてそれを iCloud にアップロードするには、icloud.com のページに直接ファイルをドラッグ&ドロップするだけで十分です。簡単そのもので、スティーブ・ジョブズだったら “boom!” というところですね。
アップロード後は、これらのファイルは自動的に iPhone / iPad上でも確認できるようになり、編集することも自在です。また、編集した内容は iOS 間で自動的に同期されます。
しかしここに面白い断絶があります。iOSへの編集は自動的にもともとファイルをアップした Mac 側と同期されるわけではなく、それは手動でおこなわないといけないのです。
Dropbox に置いたファイルを iPad / iPhone で開いてもファイルを戻すことが難しかったように、Mac と iOS 間にも見かけ上断絶があるのです。しかし次にみるように、これは問題になりません。
iCloud が作ってくれた近道
Dropbox 的な思考だと、iPad / iPhone で編集した内容が自動的に Mac 側にも同期していると面白いのですが、そうはなっていません。
そのかわりに、iCloud を通過するファイルは次のような変遷を辿ります。
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Pages / Keynote / Word などでファイルを作成
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それを iCloud にアップしたのちはすべて iPhone / iPad で編集
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その結果をもう一度 Mac / Windows 側にダウンロードして戻す
「2」のステップはたいてい出先であったり、移動中ですので、このときにパソコン側と自動で同期をとらなくてもさほど不便ではありません。
それどころか非常に便利だったのは、iPhone / iPad 間で編集が直ちに反映される点でした。実際、私は会場まで向かう電車のなか途中までは iPad でプレゼンを編集していたのですが、杖をついたお年寄りが電車に乗ってきた時点で席をその人に譲り、つり革につかまりました。その間に、Keynote ファイルはすでに iPhone 側に同期して、続きを編集することができたのです。
最終的にこの日プレゼンは iPad で行ったのですが、本来だったら会場でそれをパソコン側にダウンロードして、移動中の編集の成果を反映させるというのが、iCloud のワークフローというわけです。
いずれ Mac 版の iWorks も iCloud と完全に同期するようになるのかもしれませんが、現時点の iOS とは少し離れた距離感をもっている感じも、ワークスタイルとしては十分です。
システムのデザインとしても、「クラウド上でファイルが同期していることがすごい。編集できるかは利用するデバイス・パソコン側のアプリ次第」というDropbox の思想と、「すごいのは同期できることではなくて、iPhone・iPadでもパソコンと同じファイルを編集できること」というアップルの自社プラットフォームへの囲い込みを含んだ思想の違いが面白いといえます。
利用する私たちにとっては仕事が片付くことが至上命題ですが、どうもこのiCloudのワークスタイルはじわじわと効果をもってきそうな雰囲気です。
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