手帳が地味だと悩んでいる人に試してもらいたい6つのワザ

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手帳が、ノートが地味? とりかえしのつかない一線を越えてみると急に楽しくなりますよ。

そんなとりかえしのつかないモレスキンばかりを紹介した「モレスキン 人生を入れる61の使い方 」は書店でも好調だそうです。

しかし一方で、本をご覧になった方から、「ここまで使いこなすのは無理」「これほど絵心やデザイン能力がないよ」という意見もいただいています。

本ではどうしても61の使い方を紹介するのが中心でしたので、どうやったらここまでいけるかというHow-To的な部分は割愛せざるを得ませんでした。しかし、地味な紙面を個性的にするためのワザは共通性が高いということに気付かされたのが今回の企画でもありました。

そこで、ふだん文字しか書き込まず、ちょっと手帳が地味だと感じている人向けにポイントになりそうな点を6つ選んでまとめました。### 1. 目の前のものを貼りつけてから書きこむ

「手帳をはなやかにしたい」という気持ちは何もかっこつけるためというわけではなく、自分の今の気持ちを反映した自己表現をページの上に広げたいということだと思います。

でも絵を描くことはできないし、細かい書き込みをする時間もないという人は、心にかなった雑誌の1ページ、チラシの一部分をいきなり切り裂いて貼り付けるのが近道です。

雑誌で製品やモデルの写真が文章をぶちぬいているページによく出会うと思いますが、あのようにまずページに写真をはりつけてから、その周囲にそれに合うように文章を書き込むだけでも、ページがまるで雑誌のようになります。

これは札幌を訪問した際に、「モレスキンの女王」こと @coc0range さんのノートを拝見しているときにも盗み取ることができたポイントです。気に入ったページがあるばかりに雑誌を捨てられないということがありませんか? そうしたときはそのページのビジュアルを切り抜いて手帳に貼り付けてしまえば安心して雑誌の方を手放すことができます。そして自分のものとしたいと思っていた雰囲気は手帳のなかにそのまま生き続けるのです。

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2. 書く方向を変えてみる

いつでもできるけれども、なかなかできないのが「自由に書く」というワザです。たとえ横に罫線があってもいきなりそれを横断したり、斜めに書いたり、縦書きをしたり、画像に沿うように文字を並べるといっただけでも、紙面は個性的になります。

試しでいいので、次に手帳に貼り付ける写真をわざと斜めにしてみましょう。そしてその斜めに切り裂かれたページの帳尻をあわせるために文字も斜めにしてみます。いかがですか? これだけでもページに変化がうまれて、自分の気持をより表現できることがあるのに気づくと思います。

下のページはモレスキン本出版イベントから帰って作ったページです。本を斜めに描いたので、何も考えずに文章も斜めにしています。上に謎の言語が書かれているのも、あまり考えずに行った落書きです。

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3. 文字の大きさと色を過激に変えてみる

ページ内の文字をすべて同じ大きさにしていませんか? 手軽にページをにぎやかにする方法として、いきなりドロップキャップをしてみたり、要点となる部分を行を踏み越えて2倍の大きさで書き込むといった遊びを行うこともできます。

これはビジネスユースとしての手帳術としても有効です。重要なことがあればあるほど大きな文字で、巨大な吹き出しの中で書くというのは今回の本の Grant Barth さんのモレスキンのなかで登場したワザです。

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4. アナログ風味のデジタルの力を借りる

最近 iPhone の写真アプリに多いのが、ミニチュア風の写真を撮影したり、特殊なフィルターをかけて味わいのある写真するものです。Instapaper などは有名ですね。

写真を単純にはるだけでもいいのですが、どうしても手帳のうえでは色がくすんだりしますので、これを逆手にとってあえて Instagram などのフィルターをかけた風合いのある写真を貼り付けるという手があります。

また、デジタルな写真を切り取るのにも、ハサミで真四角に切るのではなく、手でちぎり取ることでアナログさが増すというワザもあります。

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5. 大人買いした文具を惜しげもなく使う

メンディングテープやスタンプによってビジュアルのある手帳を作るのは定番のワザですが、もっている文具の数が数点だと、ワンパターンになってしまうのでなかなか個性というところまで行き着きません。

そこで大人のみなさんに提案なのですが、未来への投資だとおもってLOFTや東急ハンズの棚にあるメンディングテープとスタンプで気に入ったものを全部買ってしまうのがおすすめです。

メンディングテープも3個しかないところから、20個あるようになると表現の幅が広がる上に、一つ一つはなかなか使い終わりませんので惜しげもなく使えるようになります。

そうして最初に投資を行うことで、いろいろな実験をすることもできるようになります。たとえば最近気に入っているのが、写真の周囲に半分にちぎったメンディングテープで枠を作ってみることで、あえて手作り感が生むというテクニックです。あえてしわを作ったりするのがポイントだということは、テープを惜しまず使うようになって初めて気づいたことでした。

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6. とりかえしのつかないことをしてみる

先日、代々木公園で行われた「モレ見」(モレスキンを囲んだオフ会)で驚愕したのは、モレスキン・カウボーイ こと高谷さん (ツイッタでは @blanq の ID でモレスキンについて世界一つぶやいています)のページでした。

脈絡のないイラスト、文字のうえに上書きされて判別不能な文字、どちらが上かわからない無重力な書き込み。ここまでくると「落書き」と何が違うのかといわれそうですが、間違いなく、これは「落書き」です(笑)。

しかし、これはただの落書きではなくて、モレスキン・カウボーイの心を通してページの上に刻まれた、心の痕跡です。この状態でも、高谷さんはこの書き込みをどんな状況で書いたか明確に思い出せるそうです。それはとりかえしがつかないほどのこのページが、かえって深い記憶を刻んでいるからです。

最初に手帳のページは自己表現の場所だと書きましたが、ほかの人にかっこよく見せたい、判別できる何かとして残したいという気持ちをすてて、手帳に対してこんな仕打ちはあるのかと思うようなことでも実行してみると、それが豊かな自己表現の扉であったりします。

絵の具をぶつけてみる。ページを切り取ってみる。干しえびを貼りつけてみる(これは本にありましたね)。あとで読めるかという心配をよそに「今の自分」の痕跡を叩きつけてみる。すると案外、それが一番あとまで残る、思い出の一ページになったりするのです。

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いかがだったのでしょうか?

なんだかコツをつかめた、という方は、ぜひ本の方でもっと実例をご覧いただければと思います。きっとさらに想像力を広げる使い方が載っていることでしょう。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。