明日がみえない人に伝えたい "It Gets Better" のメッセージ

私にも、将来がみえない時がありました。

子供の頃にいじめにあっていたときや、成人して職を失った時など、一ヶ月後、一年後の自分が想像できず、暗澹とした気持ちになったものでした。

でも、世界中が自分の敵のような気がして毎日を過している人の絶望に比べたら何ほどのこともないのかもしれません。そうした人に必要な一番の慰めは、“It Gets Better” 「よい時はきっとくる」という言葉をなんとか信じられるようにしてあげることなのでしょう。

現在進行形で差別をうけたり疎外されている男性同性愛者、女性同性愛者、両性愛者、そして性転換をした人々(略して LGBT )にむけて、同じ境遇にあった人々が “It Gets Better” 「よい時はきっとくる」というメッセージを伝えるプロジェクト、It Gets Better Projectの動画をみていて、そんなことを思いました。

もともと、このプロジェクトはコラムニストの Dan Savage がパートナーの Terry といっしょに撮影した YouTube の動画がきっかけでした。LGBT のティーンエージャーらが学校でハラスメントをうけて自殺したというニュースをうけて、二人は「いまは大変かもしれない。でも生きるんだ。よい時はきっとくるから」というメッセージをこの動画に託して世界に配信したのでした。

するとたった2カ月後で、Dan らの動画にインスパイアされた動画投稿は一万件ほどにふくれあがり、総視聴回数は3500万回を越え、一つの社会運動が始まりました。

このプロジェクトを題材に Google が短い CM をつくっていて、数々の動画を上手にまとめているので紹介します。

動画のなかのいくつかの言葉。

君はそのままの君で美しく、完璧だ

君は一人じゃない

世界には君の仲間が大勢いるんだ

僕は君のことを知らない。でも君を愛しているんだよ

人生は驚きに満ちている。でもそれを見るためには、それを手放してはいけない。

べつに LBGT の人に限らず、落ち込んでいたり、疎外感のなかで生きている人に届けたくなる言葉ですね。

「何を綺麗事を」と思われる人もいるかもしれませんが、たとえそうであっても不確定な未来を希望の側から紡いでゆくのでなしに、どうやって毎日を過ごせばいいのでしょう。

誰も未来がどうなるかわからないからこそ、確信をもって “It Gets Better” と言い張り続けることが第一歩になるのだと信じたいですね。

It Gets Better プロジェクトでは署名活動なども行っていますので、よければウェブサイトをチェックしてみてください。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。