ついに知的ツールとして使えるようになったEvernoteのノート間リンク機能
*教えと学びの子らよ、この書物は汝らのために書かれた。この書物を味わい、様々な場所に散りばめられ、ある場所には集められた意味について熟考せよ。お前たちの叡智によって理解されるべく、ある場所で隠されたことは別の場所で明らかにされている。 ーネッテスハイムのハインリヒ・コルネリウス・アグリッパ「隠秘哲学について」 *
Evernote Mac OS X ベータ版に、ついにノート間のリンク機能が追加されています。
ノートのリンクを取得するには、リンク先のノートを右クリックして「ノートリンクをコピー」を選択します。
ここで重要なのは、リンクはノートを同期するか、ローカルノートブック内に保存してからでないと取得できない点です。まだ済んでいない場合は、警告が表示されます。
コピーしたリンクを目的とするノート内でペーストすればリンクを作れます。
また、コピーしてあるリンクを任意の文字列に貼り付けることも可能です。右クリックでリンクを「追加」を選択します。
リンクアドレスは「evernote://」で始まる一意の文字列となっています。アプリ側で対応すればEvernoteクライアントだけでなく、他のアプリからもノートを呼び出せるようになるはずです。
たったこれだけの機能ですが、大きな意味をもっています。
リンク機能がEvernoteを知的ツールに変える
これまで、Evernoteには、「ノートブック」と「タグ」を中心とした情報整理の方法がありました。この機能は情報を一括りにしたり、整理するのには便利なのですが、なかなか研究ノートなどを作るのには不便な面がありました。
その理由はただ一つ。関係ないものをつなぎ合わせる機能がなかったからです。
知的な発見や、研究をする上で有用なメモツールとするには、「情報A」と「情報B」という一見関係のないものの間に、「実はこういうつながりがあるのでは?」「こういう話題にもきっと関係しているはず」という類推を眼に見える形にする必要があります。図にするとわかりやすいでしょうか。
つまりノートブックやタグによる分類は、そのノート自身が全体においてどのような位置にあるのかを特定するのには便利です。また、ノートを同じタグで括れるなら、「このノートとこのノートは同じカテゴリです」というまとめをするのも得意でした。
しかし、ノートを特定することはできても、まったく異なる場所にむかって「この情報とも関係してる」ことを表現することはできなかったのです。
つまりこれまでのEvernoteは極端ないいかたをすると、知的ツールというよりは「情報整理箱」という面の方が強かったわけです。
このリンク機能を使えばメモした情報の断片を論文のためのまとめページからリンクして、自分だけの Wikipedia のようにして利用したり、ニュースに対するフォローアップをリンクの形で表現できます。
遊びの使い方としては、これを利用してゲームブックのようなものも作れますね。
Evernoteのノートは紙を抽象化したところから始まりましたが、こうして検索とリンクという、紙にはなかなか難しい機能が付いたことでさらに高度なツールとして使えそうです。