「机も頭もすっきり!デジタル化情報整理術」いしたにまさき・松田ぱこむ (洋泉社新書y)
「iPhone情報整理術」を執筆中のことです、共著者の佐々木正悟さんがとても重要なモチーフを提案してくださり、それが本の方向性を決めました。
そのモチーフとは、**「いま自分の部屋・机の上は『こうなっている』けど、それがデジタル化で『こうなる』というビジョンを提示しよう」**というものでした。
情報整理というと、ブラウザのなか、パソコンのフォルダのなか、Evernoteのインボックスのなかがよく話題になりますが、実際は、すっきりさせることで**一番充実感が生まれるのは目に見える「机の上」と「部屋の中」**です。その決め手がデジタル化というわけなのです。
この「モノのデジタル化」という部分に特にページを割いている、みたいもん!のいしたにまさきさん、松田ぱこむさんの最新刊、「机も頭もすっきり!デジタル化情報整理術」を献本いただきましたのでご紹介したいと思います(私も巻末インタビューでちょっとだけ登場しています)。
書籍のスキャンのあらゆる詳細がここに
本書の最大のセールスポイントは、書籍などのスキャンにおける実作業の詳細が解説されているところです。
たとえば綴じ方の違いによる裁断の注意点なんて、なかなか自分の経験だけではわかりません。
ScanSnap の圧縮率による違い、白黒読み取り濃度による違い、モノクロ雑誌をカラーでスキャンした場合など、普段すべてをチェックするのは面倒なケースについてもすべて画像で説明が入っています。
これだけでももうお得感がありますが、スキャン後のOCRや余白のトリミング、スマートフォン向けの最適化、Dropbox/Evernoteとの連携方法といった活用法にいたるまで簡潔にまとめてあります。
書籍や書類のスキャンをしてみたいけれども、あまり失敗したくないという人は、ぜひ本書の情報を参考にしてください。
デジタル化による情報の2重の集中化
巻末インタビューでは書籍のデジタル化がどのようなメリットをもたらしたのかについて書かせていただいたのですが、ここでキーワードとなるのが「情報の2重の集中化」です。
難しく聞こえますが、「スキャンしてもかまわないものをデジタルの世界に解放 = 第一の集中化」をした結果、「決してデジタルにできない重要な書籍だけが書斎に集まった = 第二の集中化」というお話です。
「すべての書籍を電子化しよう」という意見を耳にすることもあるのですが、実際は手間も多い上に一部の書籍は読みにくいのを我慢しなくてはいけなくなるので本末転倒になってしまいます。
本書では完全自動化したデジタル化ではなく、ちょっとしたタグ付けやカテゴリ分けなどは自分で行う「半自動的なデジタル化」が最も活用しやすいということがテーマとなっていますが、「何をデジタル化するのか」という取捨選択もその一つなのです。
ところで…!
上で引用した画像がきれいに平面なのにお気づきでしょうか? 実は本書が届くやいなや、ザクリと裁断してスキャンしてしまい、それを Dropbox から読み出してこの記事を書いています。
本が届いたのは自宅、読んだのは出先で iPad 上、記事を書いたのはまた別の場所です。本棚に本を増やさず、本を持ち歩くこともせずにこの一連の作業が完結してしまうのが、スキャンによるデジタル情報整理術の醍醐味なのです。