[Lifehack Begin] 第6の習慣:タイマーのなかで生きる
メールの返信を書き始める前に、3分間のタイマーをかけてみてください。たったこれだけで、メールにかける時間が数割減るかもしれません。
物理学を学んだ人にとって、時間は一つの物理量です。でも人間の主観にとってはふれは引き伸ばされたり、瞬時に過ぎ去る魔法です。これを文章の形で表現したのがトーマス・マンの「魔の山」ですが、読んだことがある人なら、第1部の凝縮された時間と第2部の時間の過ぎ去り方とが際立っていて、主観が変化することで時間の受け取り方が変わるという現象を読書体験として感じたかもしれません。
毎日の作業をするときにも、こうした時間間隔の違いはいろんな場所で落とし穴を作っています。ちょっとメールを見たら1時間が過ぎていた。ちょっとツイッターのタイムラインを見たら先程まで何をしていたか忘れてしまったといったように、「そんなに時間をかけたつもりはなかったのに…」ということが私にもよくあります。
だからこそ、時間をかけてはいけないタスク、あるいは時間が短ければ短いほどよいタスクに関しては、あらかじめタイマーをかけて限られた時間のなかで仕上げるようにしたほうが最終的な時間の消費を抑えられる傾向にあります。たとえば最初に:
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今日はメールが多いので、1通あたりの文章量を半分にしなければ同じ時間で処理できない
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プレゼンのスライド1枚を作成するのに使う時間を10分ではなく、5分にできないか。5分で同じメッセージを伝えるものができないか
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報告書のページ数が1ページ少なくても、同じ効果を持つにはどのような書き方があるか。2ページ少なくすることもできるか。
というように出口を考えておいて、それにあわせてタイマーを設定するわけです。普段メールの返信に10分をかけているなら、5分に減らすといったようにです。
私もそうですが、主観にまかせておくと、「もっと良くしなければ」「もっと手を加えなければ」という気持ちが先にたって時間間隔が次第に狂っていく傾向にあります。タイマーは、その時間の袋小路にむけて下り始めた私たちを呼び戻すための仕掛けなのです。
ちなみにこの原稿を推敲しているのは大西洋の船の上ですが、強い風のせいでカーテンが斜め45度にもちあがるほど船が揺れています。
こんな状態でキーボードに向かって集中力を維持できるのは30分が限界です。それでも30分以内に書き上げると決めれば、それなりの書き方を見つけることは可能です。
逆に出口が見えない形で作業をしてしまうと、きっと船酔いになるまでパソコンに向かってしまい、なおかつ記事は完成していないことでしょう。
おっと、そろそろ時間のようです。
ではまた次回まで。
Happy Lifehacking!
p.s.
タイマーに関しては、「人生の調律をしてくれる iPhone アプリ6選」も御覧ください。