[Lifehack Begin] 第5の習慣:時間差思考を身につける

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それは誰でもやっていることです。

たとえば道を歩いて帰りながら家についたら何をしようかと考えたり、お風呂に入りながら明日の予定を考えたりといったことです。

しかしこんなあたりまえのことでさえ、動物にはなかなかできない、人間が得意とする思考なのです。Delayed Gratification で検索するだけで山のようにそういった研究がされていることがおわかりいただけるかと思います。

この「時間差の思考」はもう少し戦略的に利用することで様々な場所に有効に利用出来る時間差をつくりだして作業を行うことができます。先日「膨らむ仕事」については本質的に解決方法がないということを書きましたが、多少それを軽減するヒントがここにあります。

時間をすりかえて利用する

まず、一日のうちにまとまってつくることができる、時間差思考のタイミングを探してみましょう。たとえばそれは立ったまま電車に揺られていることが多い通勤時間であったり、待ち合わせに利用する時間であったりするかもしれません。ようするに、作業をするために机の前にいるわけでも、ノートパソコンを開いてノマドワーキングをするわけにもいかない時間帯です。

こうした時間差思考のタイミングが把握できたら、そのタイミングに入る前に「この時間帯に自分は◯◯について考え、一定の結論を出しておく」という具合に何にその時間を使うのか決めておきます。

たとえば仕事から帰る前に一枚の情報カードに「電車のなかで考えるべきこと」の短いリストを作って、それをつり革を握っていない方の手に持って眺めてみます。すると、携帯のメールが気になっていたり、電車の吊り広告に散漫と向かっていた注意が方向性をもつようになります。

実際には、この時間差思考のタイミングに何かの結論がでなくてもかまいません。ただ、問題点を洗い出したり、繰り返し心配しているポイントを見付け出しておくだけでも、あとで悩む時間を多少は先取りできるようになります。

調子がよいときには、トイレのために席を外した2分ほどの間に次のタスクについて考えたり、コピーを撮っている時間にデバッグについて考えることもできるようになります。慣れてみるととても楽しいものです。

もちろんその一方で、これは頭がそれなりに疲れますので、いつもこうした時間差を利用しなくてもよいでしょう。手に持っているカードには「目をつぶって、家につくまで心配事を忘れる」と書いてもいいでしょう。

今という時間を未来の自分ために効果的に使えているか、それが時間差思考のメリットなのであって、コンピュータのように効率化するためではないのですから。

と、この原稿を書きながら次の習慣について同時に考えることができたところでひとまず筆を擱きたいとおもいます。

Happy Lifehacking!

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。