2%の声で書き、2%の反応を無視すること

sun.jpg Seth Godin のブログで、どんなファンや顧客でも 2% 程度は満足せずに批判の声を上げる人がいるということについての考察が書かれていました。これが素晴らしい。

If you have fans or followers or customers, no matter what you do, you’ll annoy or disappoint two percent of them. And you’ll probably hear a lot more from the unhappy 2% than from the delighted 98.

ファンやフォロワーや顧客がいる場合、何をしても必ず2%の人の気分を損ねることになる。そしてそうした人たちは大声を上げるので残りの98%の満足している人よりもずっと目立って見えるはずだ。

It seems as though there are only two ways to deal with this: Stop innovating, just stagnate. Or go ahead and delight the vast majority.

するとこれには二つしか対処の仕方がないように思える。イノベーションをやめて停滞するか、それとも残りの 98% を喜ばせるために大胆に進むか。

「誰も批判しない」「誰もが気に入ってくれる」という連立方程式には解がありません。そして解がないことを悩んで手が止まっていては、どこにも進むことができないのです。

しかしその一方で当たり前すぎて Seth が書いていない、裏からみた 2% も存在します。それは提供するコンテンツがどれだけの人間にとって新規性がある、面白いと感じるものかという割合で、ここで 98% の人と同じ事を書いたり、作っているのではやらない方がましということになりかねないという点です。

最近本を書くことが多かったので、このことは頻繁に考えていました。

ほとんどの人には書けない・書かれたことがないものを求めつつ、同時に多くの人が喜ぶであろうテーマを探すこと。

この両者を満たすテーマを探すのはきわめて難しいのですが、それがなければやる価値がないという「境界条件」としてはじめから念頭に置いておけば、しかたなく頭はフル回転で動き始めます。

少数の批判におびえて手を控えること。そして、多くの人の期待を裏切らないように持ち味を薄めること。この二つは表裏一体のワナをなしています。

そしてそれは本を書く際にも、ブログを書く際にも、仕事をするときにも、つねに口を開いて待っているのです。

みなさんの2%はどこにありますか? どんな 98% にむかって仕事を送り届けていますか?

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。