Gmail から電話ができるようになってコミュニケーションのスタックが完全に
Gmail には以前からチャット機能が付いていましたが、さらに Gmail の中から電話をかけられる機能が追加されています。現在は言語を US にしている人のみですが、今後他の言語にも追加されてゆく予定だそうです。
Skype よりも安いのではないかと言われる通話料などが話題になっていますが、むしろ気になるのは「なぜ Gmail で電話なのか?」という点です。
ほとんどの人は携帯電話をもっていますし、電話が存在しない仕事場はほとんどないのですから一見無用にみえます。しかしこの Gmail の新機能はもともと Grand Central と呼ばれていた Google Voice があって初めて意味がでてきます。
Google Voice を利用すればたった一つの番号で職場・携帯・自宅を同時にコールすることや、時刻によって着信をブロックしたり、電話をかけてきた相手によって鳴らす電話を変えることができます。Gmail の電話機能も、Google Voice を通してこそ、はじめて Gmail を「コミュニケーションのハブ」に買えることができるわけです。残念ながら Google Voice はまだ日本にはありませんので、この新機能のこうした側面は利用できないわけですね。
コミュニケーションのスタック
しかし Gmail の中にメール・チャット・電話がそろったことで別の利点もあります。Gmail で同期・非同期の会話、さまざまな時間スケールの会話が集約できるという点です。
たとえばメールを書くのは電話をするよりも非常に面倒な作業です。ただしメールでしか伝えられない情報量や内容もあります。一方で電話でなくては難しいニュアンスの伝達もあります。
コミュニケーションの起こるタイミングもこれら3つでは異なります。メールが非常に長い時間スケールのキャッチボールなのに対して、チャットはすばやく会話がすすみます。それでも、常に相手を拘束しておしゃべりをする必要のある電話に比べたら、会話は非同期ですみます。また、電話はいきなりかかってくるのにたいして、メールとチャットはこちらの都合で見られる点も違いますね。
Gmail のなかにこのスタックがそろったことで、ユーザーとしては相手とのコミュニケーションの方法を適宜選んゆくことができるようになります。もちろん、そうしてコミュニケーションの中心に Gmail があるようにするのが Google の狙いというわけです。
私の職場でも、現時点ではほとんどのやりとりがメール、たまに電話ですすめられていて、メールがチャット化していることもままあります。
より多くの人がこれらのスタックを意識してコミュニケーションを振り分けられるようになると、大きな時間節約と効率化につながるのですが…。
Google のこの一手で、Skype に暗雲が垂れ始めていますが、ぜひともグループチャットなどをさらに強化することで競争がすすむとユーザーにとってはメリットが多そうですね。