Do, and Dare. 成功をその手で奪い取るキーワード

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日本語の「肩こり」という表現が英語にはないのですが、日本にきた欧米人が「肩こり」という言葉を覚えてからこりを感じるようになったという(ちょっと本当かわからない)話があります。

これから、逆の例をみなさんに体験してもらおうと思います。日本語にはない、Dare (デア)という言葉のもつ英語だけの感覚が、人生を変える鍵になるかもしれません。

Pick the Brain に掲載されていた「人生を変える7つの鍵」という記事の筆頭に、デール・カーネギーの次の言葉が引用されています。

The person who gets the farthest is generally the one who is willing to do and dare. The ‘sure-thing’ boat never gets far from shore.

最も遠くまで行ける人はたいてい、恐れ知らずに実行する人間だ。「ここまでなら大丈夫」などと言いながら漕ぎ出す船は岸から遠くへはいけない

ここでは「恐れ知らず」と訳しましたが Dare には他にもいろいろな用法や意味があります。“Dare any Danger” で「危険も顧みず」、“You dare not do it” で「やれるものならやってみろ」などです。

ハリー・ポッターの最終巻の最後に近いシーン、ハリーが悪の魔法使いに「今からでもいい、悔い改めてみてはどうだ?」と語りかけたとき、悪の魔法使いは毒が滴るように “You dare?” 「お前本気か…?」と答えています。ハリーの大胆不敵な挑戦が信じられないという言葉です。

“Dare” には、このように「挑戦する」「恐れ知らずに挑む」「顧みない」「けしかける」など多様な意味があります。名詞化した “Daring” (デアリング)になると「豪胆」「大胆不敵」「蛮勇」という意味もあります。

ですから、カーネギーの残した “Do and Dare” を「恐れ知らず」だけで止めては、その意味が放っているスペクトルの一部しか汲み取れません。

誰もが「できない」と言ってることにあえて手をつける豪胆さ。恐れなど感じていないみたいに危地に飛び込んで「これくらい何ほどのものでもないぞ」とうそぶく大胆。つまりは「見る前に跳ぶ」態度。

未来がわからない以上、私たちはどうしても安全にことを進めようとします。しかし時には準備をしたい心や判断を留保したい気持ちを切り伏せて「Do and Dare」のスピリットで臨まなくては、人生は戦略的後退の連続になりかねず、気づいたら戦うまえに降伏ということになりかねません。

そのまえに何も考えずに Do。そして「俺を誰だと思っていやがる」といわんばかりの不遜さで Dare。

往々にして、世界はこの不遜さに大きく報いてくれるから不思議です。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。