スローな24時間で心の調律を

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この一週間ほど、仕事の関係でノルウェーを訪れています。まずは北極圏のトロムソ(あるいはトロムセー)、そして今は港町のベルゲンにて。

以前にも日の落ちるのがかなり遅い夏のストックホルムに滞在していたことはあるのですが、今回のトロムソは完全な白夜。すっかり油断して、カーテンを開けたままでいると夜の9時にぎらぎらとした夏日が窓から差し込んで体が目覚めてしまいます。

そのせいもあって、この一週間は過去に経験がない変な疲れ方に悩まされました。私の体内時計は、完全に狂ってしまっていたのです。### 早く閉まる店、時間の使い方の違い

それでは現地のひとはどのように生活をしているのだろうかと興味がわくわけですが、それが非常にゆったりとしています。出勤は朝の8時台、そして午後4時から5時くらいには仕事を終えて帰っている人もみかけます。

驚くのが土産物店や博物館で、観光客が歩いていても午後6時くらいには多くが閉まっています。ベルゲンの美術館にいたっては、朝10時に開館、夕方4時には閉館という短さです。

その一方で、夕方には多くのカフェや公共の場所で会話や食事を楽しんでいる人をみかけます。すべての人がこうして過ごしているわけではないでしょうし、国の仕組みも違うわけですが、日本の一般的な光景とは明らかに違います。

ときにはスローな24時間を

ここで私は、「ヨーロッパの人々の時間の使い方を見習おう」などと月並みなことを言うつもりも、日本人の時間の使い方を憂いたりするつもりもありません。その国には、その国にあった生き方や時間の使い方がありますし、社会の仕組みも違うのですから、そんなことを言ったところで「なぜ日本は左側通行なのか」という疑問と同じことになってしまいます。

ただ、私が思うのは日本にいながらにして、日本のめまぐるしい 24 時間に耐えられずにいる人、最近それに疲れている人、ほんのすこしで良いので腰をおろして休みたいと思っている人のことです。

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そんな人には、ときにはこうした夕方も必要なのかもしれないなと、思ったのです。私が年に一度は海外出張を入れているのも、こうした時間の使い方の変化を求めているからかもしれません。

今日は午後に仕事の予定を入れていますが、それも夕方には終ります。そうしたら、帰国前の最後の夕方を長い長い夕暮れのなかでビールを飲みながら、手帳を前にして過ごそうかと思います。

そうして少しあいだ立ち止まっているうちに、狂ってしまっている心身の調律が、また和音を取り戻せるのではないかと期待して。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。