難しい問題を共有するためのビジュアル・ボード

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複雑な提案や議案を組織の一部の「上層部」だけで決めるのではなく、なるべく広いメンバーに伝えるには? そのヒントがここにありそうです。

今週は年末恒例の学会でサンフランシスコにきています。会場はアップルのイベントなどでも有名なモスコーニ・センターなのですが、フロアの広さ、天井の高さ、すべてが巨大で圧倒されそうです。

私が出席しているこの学会ではいま大きな組織改編を行っているのですが、それを一般会員に伝えるために、「ビジュアルな議事録」がパネルになって公開されていました。

このパネルは「アイディアをビジュアルに」と題されていて専門の人の手によるものみたいなのですが、それぞれが学会がいまおかれている状況や、今後とるべき方向性などについて文字とイラストを使って上手にまとめてあります。

学会のような組織は本来コミュニティーであり、会社などと違って全員の意見で組織の方向性を決めるのが理想的ですが、全世界に何十万人もの会員がいる学会ともなると、問題点を共有するだけでも大変です。

難しい単語や数字がならんだ報告書や議事録はとても読む気になれませんが、こうしたビジュアルなパネルになっていると、不思議とその前に立って、問題の大枠をとらえてみようという気になります。

こうしたビジュアルがあるおかげで、少なくとも会議に出席している数千人のあいだでは問題点の共有が促進しているみたいで、うまいなと思ったわけです。

たとえば政治や教育などでも、こうしたビジュアルを利用して問題点や方向性を共有できたら面白そうですね。

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堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。