小学生のための「マインドマップ検定」に注目すべき理由

mindmap-child.jpg

子供のころに「知識」だけではなくて「考える」方法を学べたらどんなに大きな宝になることか!

mindmap.jp の伊藤さんから小学生を対象とした「マインドマップ検定」が開催されるという話題を耳にしてそう感じました。

検定? 子供のころからビジネス思考を押しつけるのか? と不思議に思われるかもしれませんが、そうではありません。

この取り組みは、黒板の内容を書き写すだけのノート取りよりも、授業の内容を自分なりに理解した思考の枝に移し替える手法としてマインドマップを子供に教えることを目的としており、「思考」の教育ツールとしてマインドマップを学校に導入しようという活動の一環なのだそうです。

この話題を Twitter につぶやいたところ、すぐに「それは面白い」という反応や「それはどうかと思う」という賛否両論がやってきたので FriendFeed のスレッドで意見を募集しました。まとめてみると次のような意見に集約できると思います:

  1. 学校のノートをとるのが苦手で、思考が支離滅裂になっていた経験から、子供の頃にこうした「思考のツール」を教えてもらえると理解力が進みそうな気がする

  2. 逆にマインドマップという方法を押しつけることで子供の創造性を制限しないだろうか?

  3. 「マインドマップを利用して思考を育てる」という目的が手段にとってかわってしまい、「マインドマップをやっていれば思考が育つはず」という風に、隘路にはまってしまうことにならないか?

元スレッドの方も非常に興味深い意見が多くて考えさせられますのでぜひご覧ください(意見をくださった方ありがとうございました!).

わたしは3番目については十分注意しないといけないと思いながらも、2番目は心配ないと思ってます。創造性は「なんでもいいから創造してごらん」という無限の自由よりも、「ピアノを使って」「絵筆を使って」「五七五で」という制限を加えた方が、その枠を利用して、かつそれを踏み越えてゆくことができるものだと思っているからです。

そろばんがいい例です。そろばんはけっこう不自由な器具です。そしてそろばんがかわりに計算をしてくれるわけではありません。でも「計算」という複雑な手続きの補助として利用することで、計算力を飛躍的に向上させてくれます。

マインドマップもそろばんと同じように、思考のための補助ツールとしてルールに従って利用することでかえって力を引き出せるものではないかと思うのです。

私が好きなウィリアム・ジェームスの言葉に「人は自分で『考えている』と思っているが、多くの場合は偏見を並び替えているに過ぎない」というものがあります。

偏見にさらされている度合いが少ない子供の頃だからこそ、自分の力で「思考」する訓練をするべきではないのか。私はそういう意味で、この検定に注目しています。

第一回の開催まで間がありませんが、子供にやる気があるならゲーム感覚で、あるいはちょっとしたチャレンジとして受けてみるのもいいのではないでしょうか。検定に受かっても落ちてもチャレンジすること自体がなんだか楽しそうな取り組みですし。

あなたはどう思いますか? コメントか Twitter か FriendFeed で聞かせてください。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。