「変化」はさらなる「変化」を生み出す

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大きな、不安を伴う変化のさなかに、私たちは「馴染みのあるもの」にすがるのでしょうか、それとも「さらに変化を受け入れるのでしょうか」?

「予想通りに不合理」の著者、ダン・アリエリー氏が、この行動経済学の興味深い話題についてブログで紹介しています。

彼が紹介している南カロライナ州立大学のステイシー・ウッド教授の研究によれば、現在の不況のように未来が不確実な時、私たちは「なじみのある選択肢」ではなくて、むしろ「変化を受容するように」行動するのだそうです。

実験は以下のように行われました。まず、参加者は馴染みのあるポテトチップスと、馴染みのないイギリスのポテトチップス(食べたことがある人なら知っていると思いますが、これがけっこう違うのです)の間で自由にどちらかを選び、その後「人生においてどれくらいの変化を現在経験しているか」についてのアンケートに答えました。

結果は、まさにそのとき多くの変化を経験している学生の方が、馴染みのないイギリスのチップスを試してみる傾向にありました。外的な変化が、変化を受け入れる心を準備したといってもいいでしょう。

次に同じ実験を、質問の順番を変えてみて実施しても、食べ物の種類を変化させても結果は同じでした。それどころか、本当に「変化」を経験していなくても、「いま、2つの人生の大きな変化を経験していると想像してください」と言われた学生と、「8つの変化を経験していると想像してください」と言われた学生の間にさえ、有意な違いが見られたというのです。

人生が変われば行動は変わる。では逆は…?

この結果は、「大きな変化」によって人生がいったんかき乱されてしまうと、私たちはさらにさまざまな変化に対して柔軟に対応できるようになるのだということがいえると、ダンは指摘しています。

言い換えると、「日常」を構成していた人生のルーチンが壊れて初めて、私たちはなかなか修正できない古い習慣を断ち切るためのマインドセットに移行できるのだともいえます。

「人生を変える小さな習慣」がテーマのブログの著者として、私はこの変化が小さいものでもいいのではないかと強く思います。もちろん、大きな人生の変化が他の小さな変化を惹起すると考える方が自然ですが、小さな変化が大きな変化を生み出すと考えてもいいはずです。

いつも食べる定食、職場からの帰り道、いつも読んでいる雑誌、自分のことを「私」というのかそれとも「俺」「僕」というのかといった口調、そして嘘をついたり大げさな話をしたりする頻度。こうした小さな行動の変化が大きな人生の変化を生み出すポテンシャルを持っていると私は固く信じています。

実際に試してみたいという方はまずスタート地点として、「時間の使い方」と「しゃべる口調」を変えてみるだけでもすさまじい変化が人生に訪れることを経験できると思います。時間の使い方は人生のコンテンツ、口調は意識のスタイルシートといってもいいのですから。

Change!

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。