シンプルなツールを組み合わせる! David Pogue さんの仕事術
Pogue’s Productivity Secrets Revealed | N.Y. Times
David Pogue 氏といえば、有名な Missing Manual の著者でもありますし、精力的に活動する IT コラムニストとしても有名です。最近では「Twitter からみた世界」 “The World According to Twitter” という興味深い本も書かれています。
その Pogue さんがコラムを書いている NY Times で読者からこんな質問を受けました。
「David、そろそろあなたの生産性の秘密を明かしてくれませんか? というのは『普通の人』は年に5冊の本を書いて、週に2本のコラムを書いて、毎日ブログを書いた上で年に40回の講演をこなし、毎週木曜日にビデオを収録する事なんてできないのだから。ヒントをください!」
それに対して David はいつものフランクさで「いいよ。秘密とはいえないかもしれないけど」と前置きをおいて、ちょっと意外な彼の仕事術の一端を垣間見せてくれました。
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まず最初に、彼は家で仕事をしているので、それだけで通勤に使わない2−4時間分を得をしているとのことです。
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最初の数文字を入力しただけであとを補完する TextExpander のような入力支援ソフトを利用しています。IT 関連のコラムを書く場合は同じ言葉を何度も使うので、できるかぎりキーストロークを減らすように心がけているそうです。
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書くときに音声認識ソフトを利用しています。英語だからというアドバンテージもあるでしょうけれども、修正にかかる時間を含めても1分で一段落ほどの文章を作成することができるそうです。(もちろん、何を言いたいのか自分でわかっている必要はありますが)
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iData3 というソフトを使って、記憶しなくてはいけないすべてをデータベースにしている。iData3 は例えば住所録なら「名前」「住所」「電話番号」といったフォームに縛られない、フリーフォームでデータを入力することができます。なので iData3 で作った彼のデータベースには、ウェブページの断片から、箇条書きのリスト、画像なども含めて何でも入っていて、一瞬で検索できるのだそうです。これは Evernote でもできそうですね。
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彼のもう一つのデータベースはメールの受信箱で、ここにメールが残っているなら未対応のものがあると見なして、受信箱を ToDo リストのように使うそうです。
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マクロを設定するソフトを使って、ありとあらゆるものにショートカットを設定する。たとえば Word を立ち上げるのでも Shift + Control + W でできるようにしてある。
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決して時間を無駄にしない。たとえば空港でちょっとした待ち時間があったらすぐにモバイル通信でネットに接続して、できることを少しでもやるのだそうです。
とりたててめずらしくはないような気がしませんか?
面白いと思うのは、David が何かすばらしい、先進的なソフトを使っているわけではなく、彼にとって最も生産性を高めるソフトを極限まで利用しているという点です。
たとえば TextExpander を使っている人は大勢いると思いますが、何十というスニペットを作って文章が最も素早く書けるように常にチューニングをしている人はなかなかいないのではないでしょうか?
また、時間を無駄にしないという点も、注意してみると日常には思った以上に隙間時間があります。
たとえばこの記事は今日職場をでて、バスと電車を乗り継いだ 15 分の間にほとんどを書いて、イベント会場で 10 分の推敲をして完成させています。
「バスに座っている5分程度ではブログは書けない」という思い込みが壁になっていたのだな、と気づいたわけです。
ツールを極限まで使う、そして時間を常に探す。本当に生産的な人の習慣というのはこうしたシンプルなものなのかもしれません。
しかし David は他の人にはまねできないかもしれないもう二つのアドバンテージについても付け加えています。
「僕は白紙のスクリーンを前にして『何を書こうか』と立ち止まる必要のない人間に生まれついているんだ。何を書けばいいのか、いつもなんとなくわかっているのさ。あと、家の細かいことはすべて家内が引き受けてくれるという幸運の星の下にも生まれたんだ」
David、なんてラッキーな人なんだろう!