封筒・モレスキン・クリップだけで手間いらずのお金管理

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ここ最近、アメリカのブログで話題になっていた Ramit Sethi の I will teack you to be rich という本を読んでいます。直訳すると「おまえをお金持ちにしてやろう!」になりますが、実際は常識的な貯蓄・投資・ライフスタイルについて、20 代のお金を稼ぎ始めた世代に対して上手にまとめた本になっています。

お金の管理というと最初に思い浮かべるのが家計簿をつけて出費を記録することですが、Ramit は「家計簿なんてものは実際には手間が多すぎて誰もできないという意味において無駄なものだ!」と喝破してのけています。

まめに家計をとれない人、あるいは家計のバランスがとれない人は 1) 最初にどのくらい使うのかを決めておいて、それを 2) 「封筒システム」で手間をかけずに維持するべきだということを本で紹介しています。

ものすごく常識的な話といわれても仕方ないのですが、実際のところどうでしょう? これほど簡単なことでもかっちりと実践できてる人は少ないのではないかな? と思いますので参考になればと思って紹介します。

本自体も、アメリカの経済や制度に根ざしたものですが、なかなか面白いので興味のある人は読んでみて下さい。

1. 最初に給料を区分けする

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Ramit は衝動にまかせて消費するのを抑えたり、場当たりなお金の管理を自動化したりするためにまずするべきこととして、収入をどのように分割するかを考えてほしいと切り始めます。

たとえば家賃・光熱費・通信費・食費・購読費・自動車維持といった固定費をすべて合計して、それが全体の 60% に当たるとします。この場合、残った 40% のうち長期的な投資・貯蓄にそれぞれ 10% を充て、その残りは罪悪感なしに使うためのお金にするといった組み立てが可能になります。

当たり前のことのように見えますが、「固定費」と「罪悪感なしに使うお金」を分割して枠を決めておくだけで、「固定費が多すぎて遊びにお金が回せてないなあ…あ、この定期購読してる雑誌はもうあまり読まないから外そう」といった調節の見通しが付きやすくなります。

2. 何にどのくらい使うつもりかをあらかじめ封筒に入れる

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このままだと、食費のように外食の回数次第で大きく変化するお金を、遊びのためのお金となかなか区別しにくいのですが、そこで「封筒」が入ってきます。

毎月給料が入ってきたら、まず「外食にこれだけしか使わない」「服にはこれだけ」といった区分けに従ってお金をおろして封筒に入れてしまいます。

この封筒がその月の、その用途での予算となりますので、封筒が空になってしまったらそれ以上外食をしたり、服を買うことはできないというのがルールです。しかしこれだとあまりに厳しいので、封筒から封筒へのお金の移動は可能にしておきます。たとえば外食をひかえて別のものにあてる、という判断が「なんとなく」ではなく目に見える封筒間でのお金のやりとりとして実現します。

Ramit がつよく主張しているのは、「全てのものにお金をふんだんに使えるほど裕福なひとなど滅多にいない。でも可処分所得の行き先を自分が好きなものだけに集中させることで、その分野では他の 99% の人よりも豊かにすることは可能だ」という点です。

たとえば住まいの善し悪しをあまり気にしない女性の例が出てくるのですが、彼女は家賃の低いアパートに暮らす一方で、しかし大好きな趣味である靴の購入には年に 5000 ドルを割り振ることができているそうです。最初にお金の区分けがしっかりとできているので、靴を買うかどうかで迷うよりも、どれを買おうか? という楽しみを満喫できているという話は、なかなか魅力的です。

3. 封筒にかわる方法…Moleskine とクリップ?

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Ramit の話は当たり前すぎるといえばそうなのですが、こうした当たり前のシステムをちゃんと構築するところがライフハックの醍醐味でもありますね。

とはいえ、いつも封筒を持ち歩いているのはどうかなあと思っていたところで使えそうだと思ったのが、Moleskine の メモポケット Lサイズです。

これだったらちょっとした札入れとして機能しますので、食費や遊興費といった大まかな区分けを一つ一つのポケットに割り当てて、お金の管理に使えそうです。小銭で重くなりそうですが、ちょっとした小銭くらいは誤差として扱っても大きなお金の区分けには影響は少なそうです。 https://lifehacking.jp/wp-admin/post.php?action=edit&post=2185&message=7 でもやっぱりお金は財布で管理したいという人は、単に用途別にクリップでお札を挟んでしまうというだけでも一つの目安になるかもしれません。その上で付箋をはってしまえば、このクリップではさんだお金は何に使うものかも明確になりますし、メモを付けることで簡易な家計簿にもなります。

お金の管理はとても苦手なのですが、だからこそいろいろと工夫したくなる分野でもあります。財布の管理に使えるテクニックなどご存じの方はコメントにどうぞ!

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堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。