歯磨き、メモ、スケッチ。利き腕の逆でやってみると...

lefty.jpg Improve Your Willpower By Shifting Your Tooth-Brushing Hand | Lifehacker AU

オーストラリアの Lifehacker で紹介されて本家にも紹介された記事で、利き腕と逆の方の腕を使って歯磨きをすると精神的な柔軟性や、集中力が高まるという研究結果が紹介されていました。

この話を読んで、以前一人で試していた怪しい実験のことを書く気になりました。

私は右利きですので、あえて左手で物を書いたりするとどうなるのだろう? 右脳が刺激されて何か変化が生じないだろうかと思って2、3日だけ仕事上の作業以外を左手でやってみたことがありました。

まず歯磨き、これが最初は上手に上下に磨くことができませんし、どのような角度に曲げれば口の奥の方にブラシを入れられるのかがわかりません。気をつけないとブラシで歯茎を痛めそうだったので妙に集中してしまったのを覚えています。

次にブラシを使った髪の毛のセットですが、これも普段どこから髪を梳いてどっちの方になでつけていたのかがまったくわからなくなり、右手で「手本」を鏡で確認してからでないと寝ぐせ一つ直すことができませんでした。

しかし一番驚いたのが文字や絵を左手で描く作業です。ほとんど体をなしていない文字や絵をしつこく書いてゆくうちに、不思議なほど頭が左手の指先一つにまで集中し、いままで感じたことのないような脳内の回路が「開いた」ような感覚が生じました。

手元ではほとんど意味をなさない言葉しか書けていないのですが、左手を意識しながら行った思考は明らかに普段とは違ったアイディアばかりが流れ出して「ああ、これが右脳を刺激している状態なのだろうか?」と空恐ろしくさえ思ったのを覚えています。

普段使わない手を使うということは、意識せずに自動化されていた動きを意識しながら行わなくてはいけないわけで、それだけで集中力が高まるのは当然といえば当然なのですが、それ以上に「普段使っているのと逆の脳」を使ってみることにも意味があるのかもしれません。

実際の効能は科学的に証明しなければいけないのですが、この体験のあと、私はときどき考え事をするときや、会話を左手でメモ帳に円を描きながら行うということをしています。

左手でなるべくきれいな真円を描きながら、そしてそれを次第に大きくしながら考え事をしたり、話したりしていると、それまで考えたこともなかった面白い発想が生まれることが多いのです。

ちょっと怪しげな脳の刺激法ですが、試してみるときっと面白い体験が広がると思いますので、ぜひ一度試してみて下さい。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。