マイ・ワールド・マップで人生のすべてを一望におく

Crank up Your GTD Process by Using a My World Mindmap. | GTD Times

仕事からプライベート、重要なことから雑然としたことまで、人生のすべてを一望できたら良いとは思いませんか?

それは高い山から望遠鏡を手にして風景を眺めるように、と言ってもいいかもしれません。肉眼で稜線の大まかな形を確かめつつ、気になる場所に関しては望遠鏡を使って好きなだけ細かいところにズームするように自分の「今」の状態を展望できれば、自分の向かうべき方向や、どの部分があいまいになっているかも非常にわかりやすくなります。

去年 David Allen さんのイベントに招待されたときに、こうした「マイ・ワールド」と彼が読んでいるマインドマップの作り方を紹介してもらったのですが、GTD Times で Arif と Ali Vakil がその効能について紹介しています。

その要点をかいつまみながら、この魔法のようなマインドマップについてご紹介したいと思います。

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マイ・ワールド・マップは「今やるべきこと」と「将来やること」、そして「今フォーカスを与えるべきこと」とを分離してマインドマップの形にすることで、バランスよくすべてに目を配れるようにしています。

この効能を著者らは次の4つにまとめています。

1. リストよりも空間で把握できる

「来年やりたいこと」と「いつか遠い未来にしたいこと」が一つの紙のリストになっているとなかなか時間方向の広がりを意識できませんが、マインドマップになっていると「2年後にやりたいこと」が思い浮かんだなら「2年後」の枝にそれを格納することになりますので、視覚的にわかりやすくなります。

2. 優先順位の高いプロジェクトを駐車しておく場所ができる

GTD をやっていると何十、時には何百というプロジェクト(2つのアクション以上で構成された仕事)がリストに入っていますが、こうしたリストから特に優先順位が高いものを「Current Projects」に登録しておくことで、最も優先すべきプロジェクトが常に目に飛び込んでくるようにできます。

リストが有効なのは「頭を空」にする部分なのですが、「最も目に飛び込んでくる」ようにするにはやはり膨大なリストをダイエットして重要なものだけにする作業が必要なのです。このためにマップという有限の空間は役に立ちます。

3. フォーカスすべき点が目につくようにできる

これは「7つの習慣」の「役割・ロール」の概念に近いと思うのですが、「仕事」「家庭」といった側面の一つ一つに、いまはどんなことに集中して取り組んでいるべきなのかという方向性を与える「フォーカス」という要素があると便利になります。

具体的には、例えば「家庭」の欄には「引っ越しに向けた準備をする」といった向かうべき方向性を書き込んでおき、それが常に目につくようにしておきます。

そうすることで、まだ具体的なプロジェクトが追加されていなくても、ある種の注意喚起のように働いてくれるのです。

4. 大きな責任ごとにマイ・ワールド・マップを作れる

例えば会社や、子供一人一人のように、それぞれに対して「いまやること」「いつかやること」「現在のフォーカス」の3つの枝を描いて、タスクを書き込んで管理してゆくことができます。

MindManager を使っていると、別のマインドマップを任意の枝にリンクさせることができます。この機能を使えば、会社の枝をクリックすれば「会社の世界」が展開され、「子供」の枝をクリックすれば「子供の世界」が展開されるといったように、数多くのタスクや要素を一つのマインドマップの要素のなかに収納しておくことができます。

「マイ・ワールド」マップの作り方

次は自分がこうした「マイ・ワールド」を作っていたときの方法ですが、参考になると思いますのでまとめておきます。

  1. まず最初にやることは、中央の要素に「自分」を据えて、その周囲に「今やっていること」と「将来やること」「フォーカス」の3つの要素を作ること。

可能であれば「将来やること」の要素は GTD の原本で提唱されているように 10000フィート、20000フィート…といったレベルに分けておくと良いですが、直感的には「3ヶ月以内にやりたいこと」「6ヶ月以内にやりたいこと」「1年」「3年」「5年」という具合に時間でわけてもいいでしょう。

とりあえず、この最初の構造が「忙しい目の前のこと」と「大事な将来のこと」そして「向かうべき方向性」に分けてくれます

  1. 仕事について上のみっつの要素ができたなら、今度は「家庭」「趣味」といったように、自分にとって注意力を割きたい分野の一つ一つについて「今」「将来」「フォーカス」の三要素からなる「世界」を作ります

  2. 最終的にこれらの複数の世界を「私」のマインドマップにぶら下げて、一望できるようにしておきます。あまりにマインドマップが大きすぎる、あるいはすぐには不要な部分が大きすぎる場合は、別マインドマップに分割してリンクを張っておきます。

大事なことは毎日このマップが数キーストロークでよびだせるようになっていて、常にアップデートされてことです。記事でも著者らは Quicksilver による一瞬の操作でこのマインドマップを呼び出せるようにしているとのことでした。

私も一時期やめていたこの「マイ・ワールド・マップ」を Dropbox に格納して再開したところ、いまの自分が向き合わなければいけないさまざまなことが一目瞭然となって、それだけで大きな安心感が生まれました。あるいは、もっと努力すべき局面が明らかになって慄然としたということもありましたが、それも含めて、こうした「人生マップ」を作る効用なんだと思います。

マインドマップを利用してこうした「人生のマップ」を作っている人は他にいますか? どんな要素があると便利でしょうか? あまりマインドマップに詳しくない私にさらに便利な方法等を教えていただけると幸いです。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。