「夢をかなえるメモの習慣」佐藤伝(中経出版)
もう一冊、年末に読んでいた本を紹介していませんでした。大学の書籍部に並んでいたのを、気づいたら(笑)買っていた佐藤伝さんの「夢をかなえるメモの習慣」です。
「メモをとる」というと、普通は忘れたくないことを写し取るという意味のリマインダーとしてのメモを想像しますが、著者はここに「リマインダー・メモ」と、アイディアをとらえる「アイディア・メモ」と、人生の方向性や夢をとらえるための「ヴィジョン・メモ」の三種があるとしたうえで、リマインダーだけに終わらないメモ活用法を紹介していきます。
こだわりがあって面白いのが2章のメモに利用する文房具を紹介している部分です。お風呂の中やベッドから出ないでメモをとるための小道具、ホワイトボードやジョッター、理想のシャープペンシル、ボールペン、筆ペン、万年筆といった小物に至るまで、どのような利点と欠点があるのかを詳細にまとめています。
では著者はアナログ・メモ派なのかというそういうこともなく、携帯電話やボイスメモといったデジタルなツールを活用すべきポイントについてもちゃんとページを割いています。デジタルとアナログのバランスという視点でメモ術の本が出るのはけっこう珍しいので、非常に歓迎です。
後半になるにつれ、著者の視点はハードとしてのメモから、アイディアを生み出し、仕事を加速するためのソフトウェアとしてのメモの活用法に移っていきます。
たとえば後半で秀逸だと思ったのが下の「両側に □ を描く ToDo リストの作り方です。左側の四角は仕事を始めたときにチェックしますが、どうでしょう? こうして見ているだけで牛乳を買いに走って、右側の四角にもチェックを入れたくならないでしょうか?
本書はこうしたメモの活用法や発想法、Google Notebook のようなオンラインツールとの共存のしかたなどについてもページを割き、最終的にはヴィジョン・メモを利用して生活管理・目標管理という視点まで到達します。メモだけでここまでの本になるのかと思うほどでした。
ふだんからメモを習慣にしていて、ユビキタス・キャプチャーをしている人にとってはよく見聞きした話題が多いかもしれませんが、それでも他人がどう実践しているのかが気になって仕方がないのがメモ術です。
メモを愛してやまない人は一読の価値ある一冊です。