読書量を「冊」で数えるかわりに「ページ」で数えませんか?

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不満です。何が不満って、来週の国際会議と、間をぬうようにしてやっている共同研究と、秘密のプロジェクトとのあいだで時間が消滅して、最近読書の時間を確保できていない自分に不満なのです。

そうしているうちに、きょうは Zen Habits の Leo の初の著書、The Power of Less が届きました。題名も、内容も、まさに「情報ダイエット」と被っているのですぐにも読みたい! と思うのですが、でも読めません。というのは、私には厳密な読書のバックログがあるので、ルールとして読めないことになっているのです。

こっちの本をちょっと読んでは、あっちの本をかじって、という具合に「迷読」がずっと悪癖だった私は、最近は読む本の ToDo を維持して、一冊を読み切るか・途中でつまらなくなって投げ出すまで、次の本にはとりかかれないようにしています。そうしないと、読みかけの本ばかりが増えるというひどい状態に陥ってしまうからです。

実際には「ビジネス書」「文学・哲学」「遊びの本」「オーディオブック」という具合に複数レーンに分けてあるのですが、一度に読むのは物理的な本が一冊、通勤時のオーディオブックが一冊と決めていますので、なかなか新しい本に順番がまわりません。

ただいま私の本の ToDo リストはこんな感じ。本を送って下さったのに、まだレビューできていないものが二つも入ってます…これはまずい。

  1. Making It All Work (David Allen)

  2. ルーチン力 (佐々木正悟、翔泳社)

  3. ストレスフリーの整理術 (David Allen, 田口元訳、二見書房)

  4. The Power of Less (Leo Babauta, Hyperion 社)

最近はオーディオブックが「遊びの本」と決めていますので、先日読み(聞き)終わったのが、audible.com で手に入れたアーサー・C・クラークの「宇宙のランデヴー」 、今聞いているのがフランク・ハーバードの「デューン・砂の惑星」 です。全部で 24 時間はかかる長さですが、毎日の通勤で 60 分ずつ進んでいます。

ところで「本を毎日一冊読まなくては」という意見をときどき見かけますが、よほどビジネス書や新書ばかり読んでいるのでない限り、そんなことはほとんど無理なことが多いはずです。自分にとって新しくて貴重な意見であるほど、それを思考に沈殿させるのには時間がかかるのですから、「何冊」という目標が先にあっては、頭に何も入ってこないページめくり競争になりかねません。

速読法もいろいろ経験しましたが、あらかじめ内容に対して洞察力の働かない本を無理に速読で進めたとしても、なかなか実になりにくいという気がしています。

そこで私は本は「冊」で数えるよりもページ数で数えるようにして、最近は読了とともにそのページ数と難易度を記録しています。難易度を記録するのは、新書で一冊読むのと、学術文庫を一冊読むのとでは、後者の方が5倍くらい時間がかかっていますので、それも加味したいからです。

ページ数を数えていると、忙しいさなかにもそれでも「今日は 10 ページの読書に向き合うことができた」「今日は 5 ページ」という具合に、「冊数がなかなか増えない」「なかなか読み終えられない」という気分を和らげることができます。「いや、ページ数が多かったり、難しい本なんだから何もおかしいことではない」と、現実感のある視点にすり替えられるといってもよいでしょうか。

さて、週末のお供は David Allen さんの Making it all Work. 思った以上に知的な興奮に満ちた本になっていて、全容を把握するのが楽しくも難しい本です。

これもいずれ読み終わったらレビューしたいと思います。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。