Reading Hacks! 原尻淳一 (東洋経済新報社)
昨年出版されて以来ずっと読みたいと思っていたのですが、この年末に読書 ToDo が追いついて読むことができたのがこの一冊、原尻さんの Reading Hacks! です。
「読書」のハック本というからには、速読の本なのか、それともメモ取りの本なのだろうかと思って読んでみると、細かいテクニックのなかに深い読書論が埋め込まれていて、嬉しい形で予想を裏切る好著でした。
著者は本離れが加速している背景として、本を読むためのきっかけが足りないことを指摘した上で、それでもきっかけを意識的に与えることで読書の習慣を作り出すことが可能であることを指摘しています。この**「きっかけのマネジメント」**という新しい概念が全編を貫いていて、この視点を手に入れることができただけでも、読んだ価値がありました。
本全体は:
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読書のきっかけを与える
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読書という体験に深みを与える
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読書を通して思考を刺激する
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読書から得たものをアウトプットする
という4段階を意識した7章で構成されていて、本との出会いから、本と深く知り合うまで、そして本によって変えられて、新しいステージに踏み出すという、まるで本との恋物語の筋書きを読んでいるようです。
具体的なハック本としての見所は、「速読術」を単なるテクニックというよりも本との向き合い方として、目次・索引リーディング、スキミングを紹介しているくだり、またキャリアを作る原動力としての垂直型・水平型リーディングを紹介しているくだりなどが、実際的であり、かつ読書論としてもしっかりしています。
そのほか、自分の読書の幅を広げるためのハックや、読書をサポートするウェブサイト、ツールなどの紹介も豊富です。
紹介されている本の著者に林望さん、丸谷才一さん、大江健三郎さんなどが含まれていて、「むむ、自分と傾向が一部重なる…」と思ったりしながら読んでいたのも楽しかった一冊でした。