全ての仕事術を支える、2つの要素

important.jpg GTD - The Backlash or: What Does It Take to Actually Be Better | The Weekly Review

ここ最近、本当に生産性を向上させてくれるものと、そうでないフェイクなものとを分けるものについて考え続けているのですが、地球の反対側でもそうしたことを考え、見事な文章でまとめてくれている方がいました。

The Weekly Review の Chris Bowler が、最近の 43Folders の記事に応じる形で、そもそも「仕事術」が満たさなくてはいけない二つの視点について総括を行ってくれていました。

GTD であれ、どんな「仕事術」であれ、それをシステムとして売り込むときには書かれていない前提があるという風に表現しています。GTD の力を、さまざまなライフハックの力を引き出してくれるための前提ともいうべきものです。

You can disagree—this is merely my opinion. But look closely—while the Internet was rapidly growing and evolving, giving us more and more ways to communicate and ingest stimuli, so to was this focus on productivity. But in both arenas, it seems like too much emphasis was on what could be done, rather that what should be done.

これは私の個人的な意見だから同意してくれなくてもいいけれども、どうもインターネットが急速に成長し、より多くのコミュニケーションの仕方や、刺激を提供してくれたのと比例して、この「生産性」がより注目されるようになったのだと思う。でもネットにしても、生産性にしても、「ここでこれだけのことができる」という文言ばかり踊っていて、「これを使って何をすべきか」という点は見過ごされていたのだと思うんだ。

まさに、最近自分が考えていたことを直撃した言葉だったので、とても納得がいきました。つまりネットであれ、GTD であれ、Firefox であれ、新しいウェブサービスであれ、その豊富さと便利さは疑いようがない一方で、「それは何を解決するためのものなの?」という部分について進歩と反省がないままにツールとシステムが先行しているばかりでは、生産性はまったく向上しないというわけです。

Chris はこの視点を踏まえた上で、GTD であれ、どんな仕事術を使っているのであれ、結局のところ根本的に生産性の向上させるには**「必要なことを必要な時にする習慣」**ができているかというチェックが不可欠だと指摘しています。つまり、以下の二つです:

  • 優先順位:その時点で最も優先されていることをちゃんと認識して、そこからぶれないようにすること。もし関係のないウェブサイトに注意がそれたり、本来やるべきことから作業がずれているなら、それは GTD のシステムが身に付いていないという以前に、その場その場の瞬間的な「これをしたい」という欲望に対して優先順位で「待った」を書けられていない原因があるはず。

  • 習慣化:ダイエットをしようと考えて意思の力だけで続けようとしても続かない。けれども「健康を意識する習慣」が身に付いていて、それを優先させることが習慣化できていれば、ダイエット自体はライフスタイルに織り込み済みになる

たしかにこの二カ所だけでも変えることができれば、あとは全てついてくるような気がします。そして GTD などの仕事術からすべての個別の要素をはぎ取ったときに最後に残るのも、この二つであるはず。

当たり前といえば当たり前な話なのですが、この記事をきっかけとしていろんな考えがまとまってきました。

例えばちょっと極端ですが「新しいツールを取り入れるか否か」といった判断に際して「それは優先順位の高いものを片付ける助けになるか?」といった基準が作れそうに思うのです。

「GMail の新機能を使って素早く受信箱をゼロにする方法」について? オッケー、記事に採用。「少ない石けんで全身を洗う方法」?、窓から放り出してしまえ!

うーむ。ますます「ライフハック」のブログではなくなりはじめていますね…。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。