思考は魂のインターフェース。GTD の David Allen さんインタビュー (1)

TH200_0013-02.jpg GTDの生みの親 David Allenさんインタビュー特別編(1)GTD の深層に迫る:David Allen さんが語る「思考」の秘密 | Gihyo.jp

ライフハック・ブームの火付け役の一つが David Allen 氏の提唱した最速の仕事術、Getting Things Done であることは疑いの余地はありません。

Lifehacking.jp は GTD を紹介するところから始まりましたし、私も一人の実践者として GTD の習慣や、継続の仕方にはいつも大きな関心をもっていました。

その GTD の生みの親、David Allen さんが先月来日された際、非常に運の良いことに私は90分間も貴重な時間をいただいて、GTD の実践方法やその背景となる考え方についてインタビューを行なうことができました。

第1回は、いきなりちょっとディープな話題に入って、GTD と東洋哲学の関係や、「思考」という見えない仕組みの秘密について David から聞くことができました。

インタビュー自体はリンクの Gihyo.jp の記事をご覧ください。ここでは、今日の分で補足が必要な箇所について。

思考は、魂のインターフェース

今回の内容で一番面白いと思ったのは、「思考」と「魂」とは別のものだと言う David の持論でした。

魂というのはこの場合、スピリチュアルにとらえるよりも「この判断が正しいか」とか「自分はこうしたことに価値を見出す」といった舵取りの指令を下しているレベルと考えた方がよさそうです。

それに対して「思考」というのは、外界からやってくる情報を取捨選択し、あるコンテキストで解釈している表層のインタフェースのようなものだというのです。

「思考」が行なっているのは基本的には膨大な量のパターン認識ですが、このコンピュータよりも速いインターフェースは、「いま」「ここで」という意外の出来事についてはとたんに能率が悪くなってしまいます。つまり、「明日」「あの場所で」やるべきこと、という思考には焦点を合わしづらいのです。

しかしだからといって「明日」のことが気にならずにはいられないのが人間の思考の困った点で、考えても答えのでないことに対して思考のエネルギーを注ぎ込んでしまいます。それはあたかも、チェーンの外れた自転車を思い切りこいでいるようなもので、ストレスばかりが増してしまうのです。

GTD が行なったのは、こうした気になることのすべてを「リスト」や「ファイル」といった安心して忘れることができる仕組みの中に隠すことで、考えなくてはいけないことを減らすシステムを提供したということのようです。

文中ででてくるベルギーの研究者の論文についてもインタビューでは話題がたくさん出てきたのですが、ちょっと長過ぎますので割愛させていただきました。論文自体はこちらにあります(Scribd へのリンク)。

ちょっと哲学的で難しいのですが、このテーマがインタビューがすすむうちに再浮上してきて、すべてがつながったときには「ああ、なるほど!」と膝を打ったほどでした。

Gihyo.jp の記事はこれから金曜日まで、毎日掲載されますので、お見逃しなく!

p.s.

それにしても、自分が David Allen さんと向かい合って話しているなんて、去年ブログを始めた際には考えてもいなかったことです。なんという運のよさ。このチャンスをくださった Gihyo.jp の編集部と、百式の田口さんに、深く感謝する次第です。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。