ためしてガッテンの料理法が美味しく地球を救うかもしれない?

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日本が世界に誇るライフハック・テレビ番組といえば「伊東家の食卓」と「ためしてガッテン」なのではないかと勝手に思っているわけですが、我が家では前者は容赦ない情報ダイエットの犠牲となり見ていません。

それでも「ためしてガッテン」は必ず録画して飛ばしながらチェックするようになったのは、この番組が「ある瞬間しか使えない」テクニックだけでなく、「習慣化することで大きな力を発揮する」タイプの情報にも力を注いでいるからです。

今回放映された「対決!ガッテン VS エコ 激ウマ!手抜き調理術」などはその典型で、これまでに紹介してきたガッテン流調理術のほとんどが「従来よりも美味しく」「時間も短縮しており」、故に「光熱費の節約とエコを実現している」という内容でした。

これでも地球温暖化研究者の端くれ、あまりのことに思わず電卓を取り出して計算してしまいました。

手抜き調理がじつは美味しい?

今日の番組の骨子は、毎日つくるような何気ないポークソテーや、煮付けなどの数十品目の料理で私たちは:

  • 料理がおいしくなると思って時間をかけて熱しすぎている

  • 単純なこつだけで手間をかけずに美味しくできるポイントがあるのに使っていない

ということを指摘したものでした。

リストにはおよそ日々作られるちょっとした料理はかなりのところ含まれており、それらの多くで 30-80% の手間の削減、つまりは光熱費の節約 = CO2 の削減ができてしまうので、美味しく・手抜き・節約を同時に実現できるということでした。手間の削減だけでも、年間に 92時間の隙間時間を生み出せるという試算でした。

この数字は私にはちょっとした衝撃で、これを日本全体で実行したらどんなことになるのか計算してみました。

日本では家庭から年間に排出される CO2 は世帯平均 5300kg です。このうち 13.2% がガスとなっています。日本の世帯数は 4900 万くらいですので、かけ算をするとガスだけで 3428 万トンの CO2 排出という概算になります。

このうち、調理に使われるのはざっくり半分と仮定し、それをさらにガッテン流調理術の適用でガスの利用を 30% 減らせるとしたら、1028 万トンの CO2 削減ということになります。

当然のことながら、すべての料理にガッテン流が実行できるわけではありませんし、全員が実行できるわけでもありませんから、この数字の 5% が実現するのでも上出来なのではないかと思いますが、それだって 51万トンという、ばかにならない数字になります。

環境を意識している人なら、こうした料理法に車のアイドリングストップ、急発進の抑制、冷暖房の効率化を加えるだけで、余裕で家庭から排出される CO2 を 6% 削減できます。しかもその全てが、この原油高の世界では光熱費節約という形で還元され、物価上昇による私たちの経済的損失を一部なりとも相殺してくれるのです。

これらの料理法の詳細は今後ホームページ上で公開されるとのことですので、今後ためしてガッテンのホームページの改訂に期待したいと思います。また再放送も今後3回ありますので、見逃した方はぜひご覧になってください。

No Impact Man を愛読するようになって、私も「エコは苦労で面倒」なのではなく、実は効率化によってメリットを最大化するライフスタイルなのだと納得しつつあります。このへん、もうちょっと詳しく勉強したいところです。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。