積極的に生きるために。ピール牧師「積極的考え方の力」

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自信がないですか? もっと積極的に生きたいと考えていますか?

それならばそのヒントになるかもしれない、アメリカで「思考は現実化する」のナポレオン・ヒルと同じくらい読み継がれ、多くの人に今も影響を与え続けている一冊の本があります。

この本はもともとヒルの本のように、お金持ちになって成功する方法について書かれた本ではありません。しかし、あらゆる成功と繁栄の源となる場所に直接語りかけることで、むしろ多くの人を成功と繁栄と、何よりも幸せをつくりだしてきました。

その源とは、心の中にある自分に対する自信と積極性で、それを導くためのたくさんの実践的な方法をまとめたのが、ノーマン・V・ピール牧師の「積極的考え方の力」です。

内容

私がこの本に出会ったのは 4 年前で、結婚はしたものの、研究者として独り立ちできるかどうかの瀬戸際で多くの困難に直面していたときのことです。「夫婦仲をとりもつ3つの約束」を紹介してくれた牧師の先生が、贈ってくださった本の一冊でした。

以来、この本はこの数年ずっと手近に置いてあり、自信をなくしそうになったとき、不安におしつぶされそうになったときに何度も開いて読んできた、宝物の本となりました。実際のところ、紹介するのが惜しいくらい好きな一冊です。

この本は全篇がまさに「ポジティブ思考」の塊のようなもので、全 17 章のすべてが、いかにしてポジティブ思考で劣等感を克服し、不幸から立ち直り、失敗を恐れずに挑戦し、人に好かれ、怒りを克服し、敗北と困難に立ち向かい、悲しみや病気に立ち向かい、人生を変えてゆくかについて書かれています。

この本を読んでいるとポジティブ思考とは、根拠もなく「なにかきっといいことがあるさ」と強がることではなく、どんな困難に対しても「これで終わりではない、ぜったい乗り越える方法がある」と自信をもって踏み出す姿勢そのものなのだということが理解できます。そしてそれは思いのほか簡単に作り出せるものだということが、ピール牧師の出会った多くの人を実例にして描かれています。

一つだけ日本の一般読者に注意したいのは、この本の内容はキリスト教に根ざしたものになっていますので、「信仰」や「祈りによって与えられる恩恵」といった言葉に慣れていない人にはどうも理解できなかったり、人によっては「安易な神様頼りじゃないか…」と反感さえ感じるかもしれないという点です。(キリスト教アレルギーの方、警告しましたよ?)

ただ、キリスト教を信じている人でなくても応用できる実践的な方法がたくさんあるのがこの本の魅力です。

たとえば、車で運転しているセールスマンが例として登場するのですが、車で長い間一人で運転しているときに人はいろんな不安を内的独白の形で心の中に繰り返して、どんどんとネガティブになってしまう ということを指摘した上で、著者は彼がユニークな方法でポジティブな思考で頭を幸福な考えで満たしていった方法を紹介しています。

原書は 1952 年に書かれたこともあって、時代を感じさせる内容が一部あるのですが、日本語訳ではそのあたりを上手に省いた形で翻訳がされています。

最近のビジネス本の流行で増刷されたそうですので、このチャンスにぜひ書店で手に取ってみてください。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。