210 分で人生を変えよう。「Live Hacks!」大橋悦夫(ゴマブックス)

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先日お会いした時に、おそれおおいことに大橋さんからじきじきに新刊の御本をいただきました。

レビューを書かなきゃと思いながらも、内容があまりに濃いので咀嚼しながらゆっくりと読ませていただいていたら、思いのほか時間が経ってしまいました。

読んでみた正直な感想は「やられたー!」というものでした。こんな本を書いてみたかったと自分が漠然と考えてことが、すべて入念な構成のもとに作り込まれていて、やられた、さすがは大橋さんだと脱帽した次第です。

ライフハックとは何か? という質問に対して「同じ失敗を繰り返さず、同じ成功を繰り返すこと」とおっしゃっている大橋さんの哲学が全篇にみなぎっている本書の魅力を以下に簡単にまとめてみました。

本書の構成と特徴

Live Hacks! では、「時間を畑ととらえる」という「時間畑」という考え方が随所にでてきます。時間という見ることも感じることもできない量を畑に例えて、「1ヘクタールは(1時間は)誰にとっても同じ1ヘクタール(1時間)、でも収穫できるものの質、量が変わってしまうのはなぜか?」と問い直すことをしています。

本全体は、次の5段階で書かれています。

  1. 時間というものの本質を知ること(土地を知る)

  2. 時間の使い方を知る(土地を耕す)

  3. どのような行動で時間を埋めるかを問い直す(種をまく)

  4. さらに時間の効率を研ぎすます(肥料をまく)

  5. 成功の再現と、失敗の回避(収穫、次の種まきへの備え)

それぞれのステップで、時間を活用するための注意点や実例などがあり、「時間を耕す」とはどういうことなのか、「時間からの収穫を増やす」というのはどういうことかというテーマが掘り下げられています。

時間がただ過ぎてゆくだけのものではなく、「クオリティ」という奥行きをもったものとして感じられるように、さまざまな例が挙げられていて、読者の時間感覚を研ぎすますことに役立ってくれます。

また、随所に「毎日口にしたい口ぐせは何か?書き出してみよう(3分)」とか「来年実現したい夢を書いてください(15分)」といった具合に実習コーナーが用意されており、タイマーを片手に取り組めるようになっています。

この「手を動かす」ことができるという具体性が本書の大きな魅力といえます。Lifehacker の Upgrade your life のようなテクニック本も有用ですし、カリスマ的な言葉でやる気のボルテージを上げてくれる自己啓発本も時にはいいのですが、ちょうど中間の本はなかなかありません。

小さなテクニックから始めて、人生をかえてゆくところまでもってゆくという、元来の意味、「人生のハック」という意味でのライフハックの本として、一つの到達点といってもいいのではないかと思います。そういう意味では、勝間和代さんの本と領域と同じくしながらも、ちょっと違った切り口で導いてくれている本として重要な位置を占めることに成功している気がします。

すべての実習は1度ずつ行なうとして(中には1週間続けてみるものもありますが)、全部を積算しても 210 分。3 時間半しかかかりません。本を読む時間と合わせて、1週間もあれば内容を身にしみこませることができるはずです。

タイマー片手に、人生を変えられる本。それがこの Live Hacks! です。

p.s.

なんだかこれを読んで元気になってきましたので、ちょっと停滞気味だった4月を潔く忘れて、5月は新しいことにいろいろチャレンジしたいと思います。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。