Ask a Lifehacker: アンケート質問へのお答え

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カンファレンスに寄せられた細かい質問の中には時間の関係で触れることができなかったものもありますので、ここでまとめてお答えしたいと思います。先日の記事で「秘密」にしておいた部分も書き加えました。

ただ、時間があったら差し挟みたいと思っていて言えなかった一言を前置きにしておきたいと思います。私自身は様々なことが習慣化ができていたり、仕事がばりばりできる人間では決してありません。Lifehack / Productivity について読み書きするのが好きな一介のファンです。そういう意味では、わたしは Lifehacker というよりは、(A guy who wants to be a) Lifehacker と注釈が付く人間といった方が近いかもしれません。

以下はいろんなライフハック系の記事を読んできた経験から書いていますが、もっと奥深く追求できる余地も感じます。「答え」というよりは、答えらしきものに向かうための手がかりといった程度に読み流してください。

Q: ブログを継続するコツは何ですか?

先日の記事で書いていたのは、「記事を量産するためのテクニック」というものは確かに存在するので、それを愚直に適用してゆこうという風にまとめられると思います。

それに加えて5つ目に挙げたかったのは**「シンクロ率の悪いブログは捨てるか、方向転換してゆくのが良い」**というものです。これはシゴタノ!の大橋さんも挙げていた項目で、「続くようになるまで続ける」というのは身も蓋もないようでいて、実は当を得た回答だと思うのです。

とりあえず、やってみる!の増田さんが会場で「ブログを書く目的は何だろうかと問い直す」と口にされていたのも、そもそも自分のブログが自分とマッチしたテーマになっていないなら、続けようにも続けることができないからだと思います。

私のブログも順風満帆のようでいながら、裏では「アイディアが無い!」「もう駄目だ!」とじたばたしていることがよくあります。そんなときのために、複数ラインの連載を用意しておいたり、複数の記事の体裁を考えておいたりすると、苦しい時の手助けになってくれると思います。

Q: ライフハックの副作用(デメリット)って何ですか?

ライフハックはあくまで道具ですので、道具であることを忘れて方法論にとらわれすぎると、「ライフハックは僕を助けてくれなかった」の方のようになってしまう気がします。

道具であることを忘れて、方法論ばかり追い求めるようになると Productivity Pr0n といって、ポルノに溺れるように「仕事術」「ライフハック」に溺れるようになってしまいます。気が弱くなっている時にこれに陥りやすい気がしますので、要注意です。

Q: ライフハックを広めるためのライフハックはありますか?

ライフハックという言葉をいかに使わないかが鍵とも言えます。初めて聞く人にとっては、新興宗教みたいにどこかうさんくさい響きがありますので(笑)。

むしろ、メールや電話の仕方、会議の方法など、他人との接点となる場所で自分のライフハックに根ざしたポリシーをアピールしてゆくのが良い方法だと思います。それが相手にとっても良いものをもたらす Win / Win なものならなおさらです。

たとえば私は(多少周囲の人を困らせてはいますが)「24時間以内に連絡がなかったゼミには決して参加しない」というポリシーで行動しています。周囲の人はそれに最初は振り回されますが、しだいに事前連絡の徹底に協力してくれるようになります。こんな小さなことから周囲の人間の時間意識が変わってゆくのなら、それは「ライフハックが広まった」と言えると思います。

そして話題のなかで、「君は仕事に対して実に明快なポリシーを持っているね」「最近の君は変わったけど理由は何?」と話題を振られたら、**「実は小さな習慣の積み重ね = ライフハックなんですよ」**と教えてあげてください。

Q: ご飯を食べている時のハックは何かありますか?

先日食堂で同じ定食を頼んだ人と隣り合わせに同時に座りましたが、この人は急いでいるというよりも「ご飯を食べる時間なんてうっとうしい」といわんばかりのスピードでがつがつと皿に顔を近づけ、音を立てながらものすごい勢いで食べて席を立たれて去っていきました。

対抗しているつもりではありませんでしたが興味があって計ったところ、ご飯をかんで味わい、お茶をおかわりして、満足して私が食べ終わったのは彼の 2 分 10秒後でした。私はこの130秒を惜しもうとは思いません。

ご飯はおいしく食べられるだけで丸儲け!という気持ちで食べるというのは、心理ハックに数えてもよいでしょうか?

Q: インプットとアウトプットに関して意識していることは?

たとえ専門家でないとしても、ブログなどへのアウトプットはプロのように定期的に行ないます。「趣味をプロ化する」ことで、アウトプットは格段にレベルアップしていきます。

インプットに関しては、自分の今知っている知識レベルを一段高めるには必ず原典・古典に挑戦するしか無いと考えています。10冊の古典は 1000 冊分の自己啓発書に値します。

Q: ブログの3年後の進化はどのようになると思いますか? 記事のコモディティ化が一段と進む中で、どんな形で読者との共有時間を作るかというブログのブランド化はいよいよ重要になってくるものと思います。

43Folders の Merlin が最近意味不明のビデオ(これ、最高に笑えます)をアップしている Vimeo や、Robert Scoble が取材先から携帯電話でリアルタイムで情報を発信する Qik などのサービスなどが今後人気を集め、ビデオならこの人、文字ベースのブログならこの人、というように人気の多角化が進むのかもしれません。

文字ベースのブログが廃れることはないものの、読者とどのようなインタラクティブな時間を提供できるかに次の挑戦があると思います。

Q: ウェブサービスによるライフハックの未来は?

人間がタスク管理や、情報管理をしている時間が多すぎると思うので、もっと自動化を進めてくれるツールが作れるといいなと思います。I want Sandy などはその良い先駆けのような気がします。いくつかアイディアはあるのですが…。

番外 Q: ブログの写真はいつもどこから? stock.xchng からライセンス・フリーのものを選んでいます。ときどき Flickr も。キーワードを入力して、「最もダウンロードされている写真」の順序にすることでたいてい望みの画像が見つかります。ここは大事な一番というときだけ、iStockphoto で有料で購入することもあります。

番外 Q: Livedoor Reader で読んでいるのですが、時折記事が2重に表示されます

これは迂闊にも知りませんでした。Livedoor Reader 利用者のみなさん、うっとうしいことになっていて大変申し訳ありません。現在原因を調査中ですので、直せるように努力します。

番外 Q: 名前の E は何ですか?

エンジニアの E でも、エナジーの E でもなく、Eddie の E です。遺伝子的には 100% 日本人ですが、アメリカ国籍もあるので、便宜上。本の著者名に使うかどうかは悩んだのですが…やっぱり悪目立ちしてますよね…。えーい、でも本当の名前だし、しかたがない。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。