「フレッシュスタート」と「小さな変化」で日常に活を入れる

clipped.jpg Beginning the Year with Fresh Starts & Modest Changes | 43Folders

新年にはどうしても「あれもしよう、これもしよう」と欲張りになりがちです。清々しい新年とともに、大きく自分を変えてみたいという欲望が強まるのは自然なことですが、よくよく考えると去年と何かが大きくかわった訳でもないわけですので、小さく始めないと失敗するのは目に見えてます。

「小さなことの積み上げが大きな効果を持つ」 Project 365 を書いていたのと同じタイミングで、43Folders で似たような興味深い記事の再録がされていました。それが、「フレッシュスタート」と「小さな変化」のススメ、という話です。

フレッシュスタートのすすめ

GTD を実践している人なら、みなさんのプロジェクトリストにはすでに「やりかけのこと」や「したいと考えていること」が箇条書きになって並んでいることと思います。

なかには「いつかやる」リストのなかにずいぶんと長いこととどまっている項目もあるはずです。たとえば自分のリストにはとあるアーチストの持っていない CD を全部そろえるというプロジェクトがあるのですが、よくよく考えるとどれを持っていないのかさえ、この半年チェックしていませんでした。プロジェクトをリストに追加したときには 「ほしい!」という気持ちが強かったのでしょうけれども、時間とともに熱がちょっと失われたわけです。

こうした「半死半生のプロジェクト」がリストに数多くあるなら、このリストをフレッシュスタートすることが有効です。たとえば一度このリストを忘れて白紙の紙に「今すぐ時間があるなら何がしたい?」というリストをゼロから作ってみます。そうして出来上がったリストは、元にあった「いつかやる」リストと一部重なりながらも優先順位がまったく違うもののはずです。

プロジェクトのリストを一度リセットすることで、無駄なものを一気に削除し、無駄なプロジェクトに足を引っ張られることなく優先順位を降り直すことができるわけです。

フレッシュスタートはメールにも応用できます。整理していないメールが多すぎて困っているときには、「2007.12.31 以前」というフォルダにすべてのメールをいったん投げ込み、受信箱をゼロから始めることもできます。

システムは複雑なのがよいのではなく、手に負えることの方が重要だという観点で、潔くフレッシュスタートをしてしまおうというわけです。

小さな変化の威力

ずっと気になっていた暗い電球を、ある日5分の手間をかけて交換してみたら、非常に部屋が明るくなって「なんで今までやっていなかったのだろう?」と自問自答したなどという経験がないでしょうか。

私たちの生活はこうした「小さなこと」の連続でできていますが、歯を磨く習慣や顔を洗う習慣のようなよいものがある反面、いつのまにか我慢している不便なことも無数にあるものです。

43Folders の記事で言っている「小さな変化」とはこのように、なかなか抜けない刺のように気になる小さなことを直すことに対応しています。えてしてそれは、自分を大きく変えてしまうよりも生活全体の満足度に貢献したりするのです。

PC が遅いのにこれから何百時間も耐えるくらいならメモリを倍増して未来の時間と快適さを買い取るとか、たりない文房具やツールを職場と家の両方でそろえることで「あれがない!」という状況をなくしてしまうとか、小さな変化で大きな満足が得られる場合は割合あるものです。

「フレッシュスタート」と「小さな変化」、このふたつの話題が気に入ったのは今のままの自分で可能なことだという点です。自分の身の回りをこの二つの考え方で整理するだけで、プロジェクトリストや、毎日の惰性に活を入れられる気がします。

こうした考えかたは人生の Uncluttering とも言えますが、年始だからこそ、こうした生活の惰性を振り払っておくことで仕事と生活が軽やかになりそうです。それは新しい重荷を背負うよりもずっと現実的なきがします。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。