[Books] 夢を実現する技術:藤沢晃治 著 (PHP新書)
「夢を実現する方法」ではなく、「技術」だったのが目を引きました。技術って、ハックですよね。
この手の自己実現系の本はいま過剰なほど出版されていて、内容も似たり寄ったりのものが大半です。しかしだからといって「アランの『幸福論』だけで事足りる」とか「『フランクリン自伝』さえ読めばいいんだ」という風には思いません(昔はそう思っていたかも…)。同時代の、母国語で書かれた本には、「今」「ここで」生きる人にだけ通用するメッセージが込められていると思うからです。
「『分かりやすい説明』の技術」シリーズの藤沢晃治氏が書かれた「夢が実現する方法」(PHP新書)は、要約してしまうなら幾多の自己実現本で提唱されてきた、「目標をたてよう」「行動計画を立てよう」「細分化しよう」「時間を生み出そう」「進捗を記録しよう」という5原則を復習したものとなっています。
このような表面上の情報をファイルをダウンロードするかのごとく速読したのでは、「なんだ、いつものあれか」とがっかりする人もいるかもしれませんが、せめて1、2時間の時間をかけて著者の言葉に耳を傾けてみると、勇気のわいてくる言葉が随所にちりばめてあります。
藤沢氏の語る「夢」は、壮大なものとは限らず、「不満な現状を変えるもの」ならなんでも夢と位置づけています。氏はそうした「夢」の見つけ方、計画の組み立て方、行動の仕方を、頭ごなしにではなく、実践的な視点でていねいにヒントを並べて書いています。
それは、「目標をたててがんばりゃいいんだよ!」という鬼監督の言葉というよりは、「どこを改善できるかいっしょに考えてみよう」とそばに立ってくれるコーチの言葉です。たとえば、次のような点ではまっている人は、この本を読んだらヒントが得られると思います。
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目標、目標というけれども、それにタックルする自身がそもそもない場合どうすればいい?
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目標への道のりを行動に移したときに、まずはまってしまう落とし穴は?
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仕事と別に夢がある場合、両立させるための心構えは何?
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スランプを乗り越えるにはどうすればいい?
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「自分はダメだ」というネガティブな状態から抜け出すには?
よく馴染んだ事柄であっても、もう一度別のアングルから読むことで血肉になるものです。藤沢氏の文章は読者に好感を与える優しさがにじみ出ていて、読んでいて心地良いので、そうした再読には最適だと感じました。もちろん、こうした「自己実現」や「自己啓発」をあまり読んだ事のない人(たとえば学生など)にも、同じ理由でおすすめです。
さて、しばらく書評をお休みしていましたが、かなりストックがたまってきましたので、これから定期的に書き連ねてゆく事にします。新しい本とは限りませんし、有名な本とも限りません。「自分を変える習慣作り」に役立つものなら、なんでもタックルするつもりです。
おすすめの本などありましたら、紹介いただけると大変嬉しいです。読書の遅い私の積ん読リストは相当長くなっていますので、読むのはずいぶん先になるかもしれませんが。