あなたの日常にポーズボタンをかける「1時間考える」習慣

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日々が忙しく流れるだけで、ゆっくり考える余裕がないということはありませんか?

仕事が忙しいときはもちろんですが、忙しくないときでもなんとなく気が急いていてゆっくり立ち止まる間がない。朝起きたらすぐに仕事に行き、なんだかわからないうちに帰宅するだけでなんだか余裕がない。私も最近、そんな感じです。

多忙というのにはおこがましい程度の忙しさであっても、それでもなんだか息がつまってしまうような感じ。平坦な道のつもりで自転車をこいでいたら実はそこは緩やかな坂道だったので、自覚するよりも速くスピードが遅くなってしまったようなもどかしさ。こうした感覚は、自分にとっては仕事をうまく回せていないときによく現れる心理的な兆候です。

これを自覚したときにはよく思い切って「1時間休憩〜」と、すべてをなげうってA4 の紙を1枚とりだし、現状のすべてを書き出してゆく作業をします。自分ではこの作業を「ポーズボタン」と呼んでいます。

1時間という長さは「ウォーミングアップ10分、問題把握に10分、情報収集10分、ブレーンストーミング10分、リラックス20分」といった風に使います。場所もたいてい変えます。だるくなった日常にくさびを入れて、本来の自分に戻るための時間として、小さな旅行のように軽い気持ちで実行します。

Lifehack.org でこの「ポーズボタン」に似た、 Thinking Hour を作るコツという記事が紹介されていて、自分も実践したことのある「考える」ための方法が紹介されていました。元記事では 11 項目ですが、特に効果があるとおもう6つだけを取り出して紹介します。

  1. 書き出す事: 考えというものは頭のそとに書き出さないと自分でも把握できないという特徴があります。書き出していない考えはまだ「本当の考え」の一歩手前なのです。

  2. 目的を決めて考えること: ただ漠然と考えていても、考えは千々に乱れていくだけです。テーマを決めてから考える方が集中しやすくなります。

  3. 瞑想や呼吸法: その他、考えるモードに入る儀式を心得ておく

  4. 問題をもっと深く知る: 頭の回る人はどうしてもぱっと思いついた解決方法に飛びついてしまいますが、まずは問題をじっくりと(後ろ向きにではなくて)全体的に掘り下げてみると、さらによい解決方法が見えてきたりします。

  5. 「答えが分かっていたなら…」という風に逆に考える: 答えがわからない問題については、解決方法が満足すべき条件を明確にしてゆくことから、逆算する手法もつかえます。数学の言葉でいうと、解の「境界条件」でしょうか。

  6. 場所を選ぶ: 車を駐車してかんがえたり、部屋の電気を消して考える。「日常」の場からちょっと離れる

こうした「ポーズボタン」や「1時間考える」習慣を実行するときに大事なのは、「本当に考えること」です。私たちは多くの場合、考えているといいながら実はくよくよ過去を反芻しているだけという場合があります。

1時間という貴重な時間を使うのも、場所を変えるのも、過去にとらわれずに「次の一手は?」「次のアクションは?」を考えるためなのです。次のアクションさえ決まってしまえば、1時間の終わりを待たずに手を動かしたくてうずうずしてくる場合もあります。

1時間考える事で1日を救えるなら、ルーズな自分としては上出来のつもりでいますが、どうでしょう?

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。