[Lifehacking Diary] ライフハックの故郷にて
数日間更新なしで申し訳ありません。用意していた原稿を推敲していたのもありますが、一応仕事ですのでそちらに奔走してました。いやあ、サンフランシスコはワインもご飯も美味しいなあ(おい)。
O’Brien が ETech でライフハックという言葉を始めて使ったのがサンディエゴですので、ここからは東京と広島ほどの距離があるのですが、同じ西海岸ということで気持ち的にはライフハックの故郷に滞在している気がします。43Folders の Merlinもこのへんにいますし。
この場所にふさわしい本と思って読んでいたのが、外山滋比古(とやましげひこ)の「思考の整理学」です。もう四半世紀も前に書かれたこの本は、このブログで書きたいと思っていたようなことを全て先取りしていますので、自分にとっては危険な本でもあります。
本書は思考と発想をいかにして広げ、表現という形で収束させるかについてを「思考」を「整理」するという断面からときほぐしていきます。まず前半で「自分の頭で考えること」について語り起こし、思考の深め方やノートの取り方、頭にたまった情報の整理の仕方に至るまでの実践的な方法と心構えを展開していったかと思うと、後半ではたまった情報をいかにして忘却し、熟成して、表現という形で結晶化してゆくのかについて話題を収束させていきます。
書かれていることは決して簡単なことばかりでなく汲み尽くしがたい深さをもっているのですが、数ページの軽妙なエッセイが話題と議論を一歩ずつ広げていきますので、読者は一つ一つの話題にオチが付いたところで内容を少しずつ吸収してゆくことができます。円環を描くようなこの構成も、読者が気軽に何度でも読み返せるように考え尽くされています。
カンファレンスの合間にこの本をいま一度読み通して、「思考」の深さがもたらす喜びにあらためて触れることができた気分でした。昨今の自分磨きブームに後押しされてかこの本も大量に重版ができていたようですので、ぜひ書店などで見つけたら手に取ってみてください。
それでは西海岸から、Happy Lifehacking!