逆境での反応から人の本性を見極めるダークなハック

dark_side.jpg How to Test-Drive Friends and Irritate People | The Blog of Tim Ferris

The 4 Hour Workweek の Tim Ferris はこのブログでも何度が紹介してきて、その思い切ったライフスタイルに大いに触発されているのですが、これはさすがにまずいのではないかと考えさせられる記事を書かれていました。

要点をまとめると、最近知り合った人を深い友人や知り合いとして親しくしていいのかをてっとり早く見極めるために、わざとイライラしたり我慢が要求される場所や状況に連れ出して反応を見ようという方法です。記事より:

最近私は「相手の仮面をはぎとる」メソッドとでもいうものを試している。人間関係は特に時間と労力を咲く者なのだから、私は自分から力を奪ったりする人ではなく、むしろ力づけてくれる人と知り合いたいのだ。(中略)

逆境はその人の人格を形作るのではなく、それをあらわにするものだ。そこでわざと人をイライラする環境においたり、ストレスのかかる環境におくことで、その人が意識的に隠している本性が手早く明らかになるのだ。 Tim はそれをするために相手をレストランにさそっておきながらわざと遅れてみたり、お金を忘れたふりをして借りてみたり、わざと意見の違う話題をさがして議論をふっかけたりすることで、相手の仮面を揺さぶって本性を知ることができると続けています。こうしたストレスがあるときにどのような反応を示すかによって、相手の人格の底が見えるということのようです。

ここまで紹介しながら何ですが、これはほとんどの人にとって恥知らずな行為と受け取られても仕方のないことです。まず相手に失礼ですし、その上、よい人間関係を探しているという目的そのものを裏切っているといっていいでしょう。そもそも人間関係はそんなに都合良く取捨選択できるものではありません。自分にとって都合のいい人間としかつきあわないのは、しょせんは自己愛の投影に過ぎないわけです。

とはいえ、ストレスのある状況でどのように反応するか、言葉を選ぶか、感情をどのようにコントロールするかで自分の本性が見えてしまうというのはたしかに真実です

わざと逆境を演出して他人を試すようなことをしなくても、言葉のやりとりを注意深く観察し、この人はどんな話題を避けているか、どんな話題に反応するかを見ていれば、その人が向いていること・苦手なことはある程度見えてしまうものです。

その上で、その人とのつきあいを深めるかどうかを決めるのは「君子危うきに近寄らず」という意味合いでも賢明なことだと思いますが、何も最初から人を試さなくても…と思うわけです。

やりかたはちょっとダークで、私は少なくとも真似るつもりはありませんが、人を見極める上でとても大事な点に Tim は触れている気がします。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。