10秒あればスキルアップ! ユビキタス・キャプチャーで隙間時間学習を

moleskine.jpg

仕事とはまったく関係のない趣味の語学や、資格試験の勉強をしていますが、私は 1. 要点をノートでまとめる、2. 数問の小テストを自分に与える、という二つを行うことで一番効率が上がるタイプの人間ですので、いつも単語帳やフラッシュカードを作って時間のあるときに眺めています。エレベーターを待っている時、信号待ちをしているとき、仕事が一段落したとき、トイレに入っているとき、等々。

問題は隙間時間でこうした「ちょっとした復習」をしようと思ったときに、いつも学習ノートやカードを持ち歩いていなければいけないという点です。

すでにシステム手帳、Hipster PDA、ユビキタス・キャプチャー用の Moleskine と、「文具が好きだから」ではすまされないほど持ち歩いていますので、この上学習ノートとなると、さすがに鞄がかわいそうですし、いちいち取り出しているのでは手間が多すぎます。

ここで気づいたのは、単語帳や文章帳で記入した項目は「書いた日 + 1週間」以内は使用頻度が高いのですが、時間が経つともう暗記していることが多いですので、次に見るのは数週間後の復習のときです。これもまた一種のフロー型の情報、つまり新しいものほど価値のある、次から次へと流していくべき種類の情報なのだということです。

そこで単語帳も文章帳もやめ、毎日勉強をするたびにユビキタス・キャプチャーを行っている Moleskine Pocket 手帳そのものに学習ノートと、「今日の小テスト」なる表と裏ページで一対になっているページを作成してみると、なかなかうまくいきそうな気配です。

つまり、毎日のアイディアや出来事などをすべて記録してゆくのと同じ手帳に、自分の学習ノートと小テストさえも載せてしまうというわけです。「語学はこのノート、資格はこのノート」などと分けることもしません。ポケットサイズですのでかなり細かくなりますが、むしろ紙面を制限した方が書く手間は少なく、情報は濃厚になる傾向があります。

この手法の利点は、特に小テストの復習などで活かせそうです、つまり:

  1. 勉強モードに切り替える段階をすっ飛ばせる:ユビキタス・キャプチャー用の手帳ですからいつでも持ち歩いています。鞄から学習ノートを取り出している手間さえも飛ばして、「あっ、エレベーターが下にいってしまった」という瞬間にすかさず内ポケットの手帳を開いて単語を二つほど復習したりできます。

  2. 時間軸を使った復習に便利:復習は1週間後、3週間後、6週間後と繰り返すと良いといいますが、ユビキタス・キャプチャーは基本的に時系列順ですので、「3週間前の小テストをやってみよう」と思ったときに、その日付あたりを開くだけでよいわけです。

learning.png

ふだんの思いつきや出来事を雑然とキャプチャーしている手帳に小テストを組み込むわけですので、この方法だと学習ノートや小テストのページが手帳のなかでとびとびになってしまうのが一見難点のようにみえます。

しかし考えてみれば学習ノートや小テストを作るのは、体型だった本を書くためではなく、目と耳を通して勉強している情報に頭をくぐらせるという体験のためにあるものです。ノートや小テストはその痕跡と復習のために、とにかく必要時にアクセスできれば事が足りるのです。

こうしたときにはやはり Moleskine 手帳の一番うしろを索引ページにしておけば、学習に関係あるページだけを集めた一覧表ができますので、ランダムアクセスが可能になって便利です。索引には苦手なテストのページに○をしたりなど、さまざまなメタ情報も書き込めます。

もう一歩進めるなら、索引部分自体を学習計画にしてしまえばよいことになります。勉強が進むにつれて「テーマ、勉強した日、キャプチャーされているページ番号」を書き込んでゆくことで、学習の進行とともに索引ができあがってゆくという方式にしてみてもよさそうです。

一度目の学習には準備や雰囲気が重要ですが、復習は瞬間的にやれます。そのエレベータの待ち時間、瞬間スキルアップに使ってみませんか?

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。