オーバーコミッション:仕事を先送りする脳のからくり

race.jpg Why Do We Overcommit? | Lifehack.org

Lifehack.org のこの記事が、私たちがどうして日頃「明日なら時間があるから」「来週なら時間があるから」という言い訳を作って仕事を先へと送っているのかについて面白い考察を与えてくれていました。

ノースカロライナ大学の心理学者が実験によって、我々が「今」の時間と「将来の時間」とに対してどのようなイメージを持っているのかを調べた結果を引用しています。実験内容はリンク先に詳しいのですが、結論だけを翻訳すると:

Participants believed that both time and money would be more available in “a month” than “today,” and believed it more strongly for time than for money. A deeper investigation of a psychological phenomenon called “delay discounting,” in which people tend to lessen the importance of future rewards, showed that people also discounted future time more than both gains and losses in future money.

被験者たちは「今日」に比べて「一ヶ月後」の方が時間に余裕があるだろうと常に信じる傾向を見せた。こうした傾向はお金よりも時間についての方が、より顕著になった。こうした人々の挙動は「Delay discounting」、つまり未来の大きな報酬よりも直近の小さな報酬を選択する傾向とつきあわせてみると、我々は「将来の時間」と「今の時間」を比べて「将来の時間」のもつ価値も逓減して捉える傾向にあることをしめしている。 ようするに、我々の思うほど未来には時間がないかもしれないのに、未来にむけて仕事をオーバーコミットするという傾向があるということ。そしてこれが我々の脳というか、心理がもつ基本的なクセであって、意識的にしか変えられないということを意味しています。

今を多忙に生きて、今実行しきれないタスクを将来に投げて、そしてゆくゆくは将来さえも犠牲にするよりも、そもそもタスクそれ自体を殺して必要な 20 % だけを行うことが重要だということかもしれません。

p.s. ここ数日はネット環境のない辺境を旅していますので更新やコメント承認が遅れるかもしれません。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。