GTD + 7Habits (2) コンテキストと役割

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前回この話題をしてからもう2ヶ月がたってしまいました。もうすこし早めに書こうと思っていたのに、ずいぶんと遠回りをしてしまいました。前回は GTD がリアルタイムの仕事術なら、7つの習慣は長期戦略の仕事術であることについて書いたのでした。

ところで、GTD と7つの習慣を同時に行おうと考えたときに、GTD のコンテキストと、7つの習慣のロール(役割)がとても似ているということに気づくと、すぐに実践を始めることができます。この二つの用語についての復習と、実践方法についてまとめてみました。

コンテキスト vs ロール

GTD ではあるタスクやプロジェクトに、かならず「コンテキスト」がついています。日本語でいうなら、文脈とか場面といったものです。たとえばスーパーで卵を買わなきゃいけないというタスクを職場の ToDo リストに加えてもあまり意味がありません。それは「買い物」というコンテキストでしか実行できないのですから、「買い物」リストだとか、「外出時」といったリストに加えるべきものなのです。

いったんコンテキストが明確に定義できたら、あとはいま自分がいる場面場面でのリストを手にするだけで、別の場面でのタスクに気持ちを煩わされることはなくなります。 この、コンテキストといかに区切るかが GTD 成功の秘訣ににもなっています。

7つの習慣の役割(ロール)は、第2の習慣 “Being with the End in Mind” 「最終目標を意識して行動する」で導入されたものでした。一人一人の人間には、仕事をする自分、家族としての自分、友人としての自分、というように、いろいろな役割があります。そうしたいくつもの役割と責任が相互に矛盾しないように、仕事に偏りすぎたりしないように、明確な目的意識、ミッション・ステートメントを書くべきだというのが第2の習慣の話でした。

それぞれの役割には、その指導原理から流れ出す、自分の究極目標と一致した行動が当てはめられるように求められたのでした。実際、市販されている Franklin 手帳には毎週「役割」ごとになにをするかを記入するしおりがついてきています。

どうでしょう。この二つ、似ている気がしないでしょうか。

GTD + 7Habits 実践例

たとえば7つの習慣の「役割」として、自分は「会社、家族、友人、趣味」の4種類を設定していたとしましょう。単純に職場と自宅の間を往復するだけなら、GTD のコンテキストとして、まったく同様に「@会社、@家族、@友人、@趣味」をつくり、補助的なコンテキストとして「@外出、@オンライン」などを設ければよいということになります。

毎日の仕事や活動ではスピードがものをいいます。思いつくままに「@会社」や「@家族」のリストにタスクやプロジェクトを加えていき、ふつうの GTD で日々を過ごせばいいわけです。

しかしウィークリー・レビューになったときに、これらのプロジェクトリストを全てもう一度7つの習慣の目で再検査します。要点としては、

  1. コンテキストをまちがえてリストに加えているタスクはないか?家でやるべきことを仕事のリストに加えてないか?

  2. コンテキストごとにすべてのプロジェクトとタスクに目を通し、自分のミッション・ステートメントからみて、関連性の少ないプロジェクトはないか? あるなら、それを消してしまうか、未練があるなら Someday / Maybe のバケツにつっこむ

  3. 自分の「役割」の近未来の目標、長期的な目標に修正するべき点はないか?

といったものをチェックします。どうでしょう。手続き的には GTD なのですが、コンテキストと役割を同期させたことで、GTD のレビューがそのまま7つの習慣の週間レビューになっています。

実際には、「@仕事」「@家族」という単純なコンテキストは成り立たないかもしれませんが、その場合私はコンテキストをグループ化するなどして対応しています。「@仕事・デスクワーク」「@仕事・出張」といった感じです。「@仕事」全体の目標は、細かいコンテキスト全てで共通、というわけです。

7つの週間はどちらかというと概念的な仕事術ですので、GTD のようなシステマティックなものに組み込んで実践することができるという一例です。

GTD + 7Habits の不定期連載、次は週間レビューの詳細について書いてみたいと思います。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。