自分のルーツ本に立ち返る
情報カードシステムについて深い考察と、有用な情報を提供し続ける Pile of Index Cards の Hawk さんが原点として立ち返る2冊の本について紹介していました。
そのうちの片方、渡部昇一「知的生活の方法」(講談社現代新書)は私も学生時代に愛読した本なので、実に共感を覚えました。「続・知的生活の方法」とともに、啓発的でありながら実際的なテクニックでも多くのことを教えてくれる名著だと思います。
この記事を読んで、自分にとってもブログを書いていること、何かを人に伝えようとしているということは、こうしたいくつかのルーツ本との出会いが原点だったな、と思い返しました。
私にとっては、Lifehacking.jp のルーツとなっているのは「知的生活の方法」に加えて、次のような本です。
「フランクリン自伝」は、高校生の時に英語で強制的に読まされて、200年も前の古風な英語に苦労して最初はげんなりとしたのですが、読み進めるうちにこの人物の俗っぽさと偉大さの同居に驚いたものでした。岩波文庫の翻訳は読みにくいですが、第二部だけでも読む価値は十分にあります。
ピール牧師の「積極的考え方の力」は、アメリカではポジティブ・シンキングのバイブルといわれている本です。人生の多くのことが袋小路のようだったときに、この本を人からいただき、それ以来何十回となく読んでいます。この数年で一番自分の人生に影響を与えた本となりました。キリスト教的な記述が多いので慣れない人にはとっかかりにくいかもしれませんが、この本の力強い言葉はいつも立ち上がる力を与えてくれます。
最後に、ちょっと毛色が違う本ですが、サイードの「知識人とは何か」。サイードは比較文化学の権威であり、名著「オリエンタリズム」の著者でもあり、パレスチナ問題の活動家でもありました。そのサイードが著したこの知識人論には、「知識人」とは知識をもった人のことではなく、むしろアマチュア的に自分の専門を踏み越えて語る声であること、また、権力に対して真実を語る声であること、という定義がされていて、読んだときに大きな衝撃をうけたことを覚えています。読むたびに、私は著者が「門外漢でもいい。真実だと思うことを語れ」と励ましてくれているのを感じます。
人生におけるルーツ本は他にいくつもあるのですが、ブログを書くときに立ち返っているのはこのあたりです。読書の秋、人生や仕事のルーツに立ち返る本を再読して、もういちど力を得るのも良いですね。
みなさんのルーツ本、おすすめはありますか?