The Now Habit (2) ぐずぐずログと、自分への話し方を変える習慣

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仕事の先送りを防止するための実践的な習慣について書いた The Now Habit。昨日の内容は、仕事を先送りするのは、なにも怠惰だからではなく、むしろ「仕事を完璧にこなしたい」という理想とのギャップが生みだした心の自己防衛本能だという話でした。

こうした状態になることを防ぐために、心に安全ネットを作って気を楽にしないといけないわけですが、そのためにまず最初は自分の時間の使い方、とくにどういうときに仕事の先送りをしているのかを正確に知る必要があります。

今日はこのちょっとユニークな procrastination log について。また、自分の言葉を変えることで最初の安全ネットを作る話についてご紹介します。

ぐずぐずログで、自分のくせを知る

仕事をしなければいけないのにぐずぐずと先送りをしているときには何が起こっているのか? どういうときに自分はそういう状態に陥りやすいのか?

これを知るために procrastination log を付けることが役立つと Neil Fiore は書いています。これは自分が仕事を先送りして罪悪感を感じたときに:

  1. いつ、どのくらいの時間をぐずぐずするのに使ってしまったか

  2. 何を先送りしたのか。それはどのくらい重要な仕事だったか

  3. 先送りをした瞬間、どういう気持ちが心を支配していたか。

  4. 自分自身に仕事の先送りを許す言い訳になにをつかったか

  5. 何をしてぐずぐずしていたのか

を記録するというものです。たとえばとある仕事を先送りしていたときに「これは大事な仕事だから始まりはきちんとしないといけない」という気持ちが生じて「もっと情報を集めないといけない」という言葉を言い訳にして、実際にはウェブサーフィンをしていた、という具合になっているかもしれません。

結果としてのウェブサーフィンだけを後悔しているのでは、そもそも仕事の先送りの原因となっている心の中のプレッシャーがあきらかになりません。そこで仕事を先送りする心理状態と行動とをセットで見直してみるわけです。

こうしたログを2,3日とることで、自分がどういうときに仕事の先送りをしがちで、何をして先送りをしているのかを把握することができるようになります。

重要なのはどういう気持ちで仕事の先送りをしてしまったのかという自己診断を行う点にあります。どのような文脈で仕事の先送りが生じているかを知ることで、それを戦略的にハックしていくことが可能になります。

自分のへの話し方を変える

Neil Fiore によると、心の安全ネットの第一段階は、自分自身に向けての言葉の使い方から変えてゆくことにあります。これが第一の Now Habit となります。

たとえば仕事を先送りしているときには実際には心のなかで「本当はこのプレゼンの準備をしなければいけない」といった、「〜しなきゃだめ」「〜すべき、〜であるべき」の文脈で自分に話しかけていることが多くあります。

著者によるとこうした「〜しなければだめ」の言葉は、「理想 vs 不十分な現実」「仕事が完了した状態 vs 出だしが悪い状態」「尊敬される人 vs だめな自分」「楽しい時間 vs 嫌な現在」といった心のなかの対立の構図を際だたせるのだそうです。

たとえば「もっときちんとした仕事をしないと」と考えながらぐずぐずしている人は「きちんとした人」という理想像がすでに心にあって、それと現在の自分とのギャップに苦しんで、そのせいでさらにぐずぐずしてしまうわけです。

このことは理想を持つのがいけないといってるわけではありません。ただ、不用意に理想を持ち出すと、それに比べて不十分な現実が浮き彫りにされてネガティブになってしまう可能性があるということを言ってるに過ぎません。

心に安全ネットを作るために、まずは自分が普段使っている自分自身にむけた言葉遣いを変化させていきます。例として:

  • 「〜しなければ」→「〜することを選ぶ」

  • 「終わらせないと」→「どこから始めよう?」

  • 「この仕事は大きすぎる・重すぎる」→「小さな一歩だけやってみよう」

  • 「完璧に仕上げなきゃ」→「人間らしい仕事でいい」

  • 「遊ぶ時間なんてない」→「遊ぶ時間を作らなきゃ」

ただ語尾を変えただけですが、こうすることで仕事へのプレッシャーで酸欠状態になっている心に、心理的な余裕という新風を吹き込んであげることができます

こうした言葉の習慣を変えることで自分を変えるという方法は「7つの習慣」の第一の習慣「主体的になる」にも載っていたテクニックですが、私はこれを誰にでもおすすめします。

実際、最初の「〜しなければ駄目」を「〜することを選ぶ」「今は〜をしないことを選ぶ」という言葉に替えるという習慣だけで、心の中に劇的な変化が生じます。外からなにかをやらされているのではなくて、自分が舵取りをしているというイメージが強く植え付けられるからです。

もし最近ずっと自分自身に対して「〜しなければ駄目」「自分はこれを完璧にやらなきゃ駄目」「これしきのこともできていない自分は遊んでは駄目」と駄目駄目とばかり話しかけている人がいるなら、ぜひ自分自身をこれ以上責めないためにも、このテクニックを使ってみてほしいと思います。

最後に遊びの話がでていましたが、次回は罪悪感なしに遊ぶ方法について、です。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。