[Lifehacking Diary] 思わぬところでライフハックのルーツに出会う
「暑いし、ビールでも飲まへんか?」と誘われて、今日は夜から教授のお部屋でこぢんまりと飲み会をしていました。本棚に目をうつしていると、ふと知っている名前が飛び込んできて目を奪われました。
それは梅棹忠夫先生編集の「山の世界 - 自然・文化・暮らし」という新しい本でした。一流の文化人類学者でありフィールドワーカーである梅棹先生ですが、ライフハック関係の人には名著「知的生産の技術」 の著者としての方が知られている方です。私も情報カードの使い方などは学生時代にこの本で開眼したくちです。
「先生。この本、どうしたんですか」と聞くと、「ああ、わしも著者の一人だから送られてきたんや、梅棹先生はよう知ってる」とのこと。なるほど、そういえば、二人とも同じ大学だったっけ。
「このごろは梅棹先生の知的生産の技術なんて、若い人は読まないだろう?」と教授がいうので、そんなことはない、自分は学生時代に愛読していましたよ、と言うと「そうか? じゃあ川喜田さんなんかも知ってるか?」とさらに聞かれます。
川喜田さん? 聞いたことあるような…。もしかして。 「川喜田二郎先生、KJ法の生みの親ですか?」 「そうや」 「そんな人とも知り合いだったんですか!」
意外なつながりに興味がわいてしばらく話を聞くと、梅棹先生も、川喜田先生もフィールドワークのなかで集めた断片の情報を、いかにして論文という首尾一貫した形にしていくかということを試行錯誤するうちに、著書やKJ法のような方法を編み出していったのだということでした。まさに現場から始まる思考、日本のライフハックのルーツの一つといってもいいでしょう。
カードからパソコンへ、原稿用紙からワープロへとツールが変わるうちに、先生たちの著作や方法をそのまま適用するのは難しくなったものの、考え方のフレームワークはまったく古くなってはいません。こうした過去の知識を現在のライフハックとしてリバイバルさせるのも、味わいのあることかもしれません。
情報カードに始まって、パソコンに移行し、また時代は巡って Hipster PDA へ。その時代時代のハックがあったのだなあ、と思いながら、先生の過去の冒険譚に耳を傾けていました。