新しい iLife '08 に学ぶアプリケーションの設計思想

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新しい iMac が話題をさらっていますが、すでに Mac を使っている身としては、やはり iLife ‘08iWork ‘08 のアップデートの方が嬉しいです。

数多くの改善点がありましたが、なかでも注目したのは iPhoto の新しい写真整理方法。通常のアルバムソフトだと写真を中心にして、写真をフォルダで整理できるように設計されていると思うのですが、**新しい iPhoto では日付ごとにマージしたり分離したりできる「イベント」のビューが加わっています。**Flickr でいう Photoset のようなものでしょうか。

人間の脳はおかしなことに、たいへん多くの情報を覚えることができるくせに、その正確な位置を覚えるのはけっこう苦手です。しかし「去年の写真だったような…」とか「あそこに行ったときの写真だったような気がする…」といった絞り込みは割合正確だったりします。ですから、この新機能は人間の記憶の働き方と相性が良くて、すぐに使いこなせそうな気がします。

キーノートのなかでも紹介があったように、あるイベントで撮影する写真の枚数はだいたい 50 枚が平均です。もし 10000枚の写真があったとしても、イベントビューなら 200 のイベントから探せば よいわけで、実質的に「情報ダイエット」の効果があります(.Mac で公開したウェブギャラリーの実例もご覧ください)。

このように、ユーザーが写真を探すときに「あの旅行の写真はどこだっけ」という風に考えることを見越して、思考がたどる経路の先にアプリケーションの機能を存在させるという設計の仕方は使う側には心地が良いですね。小さな新機能ですが、日々大量に撮っている写真管理に大きなインパクトがありそうです。近くの店に入荷するのが待ち遠しいです。

しかしそれにしても、一番学ぶべきは、まだ 2007 年が半分残っているうちから ‘08 を銘打つ思い切りの良さでしょうか。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。