ビット・リテラシー:ライフハックの基本を広めよう!

literacy.jpg The Good Easy on OS X | The O’Reilly Network

アメリカのライフハック界で一冊の本が囁かれています。最近出版された Mark Hurst の “Bit Literacy” です。ふつうの人に向けて書かれた、コンピュータを使って能率を上げるためのテクニックを紹介している本です。

O’Reilly Network で彼の本の一部について解説している記事がありましたので読んでみたところ、なるほど自分や、このブログを読んでくださっている人には常識的なことでも、世の中にはそれほど浸透しているとはいえないのが、「ビット・リテラシー」、つまりはコンピュータに利用されるのではなく、ちゃんとそれを効率的に利用するための一般常識なのだな、と実感しました。たとえば次の一文:

The “Good Easy” is a sub-set of the “bit literacy” concept. It represents the specific changes Hurst and his staff make to any new computer that arrives in their office. Until these changes are made, Hurst considers the computer unfit for use.

Good Easy はビット・リテラシーという考え方の一部をなしています。それは Hurst らが、新しいコンピュータが納入されるたびにオフィス全体で行っている変更事項です。それらが完了するまでは、コンピュータは仕事には利用できないと見なします。

In short, the Good Easy is all about removing some things that are (in Hurst’s opinion) broken and adding third-party tools to make the working environment better.

簡単にいえば、Good Easy はコンピュータが届いた時点で必要のないものを捨て、仕事環境によりマッチした物をインストールするという考え方です。

こんなことは Geek に言わせれば当然のことです。でもどうでしょう、壁紙も、インストールされているソフトも、ISP の契約を勧める無用なショートカットさえも買ったときのままでパソコンを使っている人が案外周囲には多いのではないでしょうか?

Hurst はこうした人々も含めて、Firefox であれ、Quicksilver であれ、職場として全員がその仕事を行うのに最適なツールをそろえることがスタートラインだという考え方を提案しています。

そのために彼が提案しているソフトがちょっと変わっています。Office のかわりに、Appleworks を使ったり、TypeIt4Meのような入力支援ソフト、などです。古すぎるくらい古いアプリが多くリストに入っています。

これも彼の考え方の特徴で、テキストファイルばかりを扱ういわゆる「枯れた」アプリケーションの方が簡単なことしかできないので、簡単に仕事を進めることができるということらしいです。たとえば AppleWorks を使うのは、最近の巨大なワープロを使うよりもたいがいスピーディにテキストファイルを編集できるからだそうです。

こうした「速度」「効率」「簡素化」を重視したソフトばかりをオフィス全員で利用して、機動力を高めようというのが、ビット・リテラシーの背景にある考えのようです。いってみれば、オフィス全体で使えるライフハックの最大公約数を見いだして、全員で使おうというわけですね。

この考え方を実現するには、それこそコンピュータ・リテラシーの高いボスが号令をかけなきゃいけなさそうですし、そもそも自分流に仕事をカスタマイズしよう!というのがライフハックの原点でもあったはずですので、異論反論も多いとは思いますが、一つの考え方ではあると思います。

本も注文してみました。届いたらまたご紹介しましょう。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。